ベストテン番組に名を連ねていたヤングアイドルが、いつしか極上の艶っぽさを身にまとっていた。そして、息を飲むハードシーンに挑戦したのだ。
松田優作が40歳で世を去った日から30年がたった。膨大な作品群の中でも鮮烈な印象を残すのが「蘇える金狼」(79年、KADOKAWA)で、あの村西とおる監督よりも早く、ダイナミックな「駅弁スタイル」を披露した。お相手となったのは、74年に「愛がはじまる時」で歌手デビューした風吹ジュン(67)。映画評論家の秋本鉄次氏が言う。
「アイドル時代は小柄な印象だったけど、優作にバックから突かれ、抱え上げられる場面では胸がユサユサ揺れて驚いた」
秋本氏によれば、完脱ぎしたのはこの1作のみなので、そういった点でも貴重な映画だという。
80年代後期のトップアイドルとして、「楽園のDoor」(87年)から8作連続でチャート1位を記録した南野陽子(52)は、人気にかげりが見えた92年、宮尾登美子原作の「寒椿」(東映)で初脱ぎを見せた。
元バスガールが借金のカタに売られるという薄幸の役で、白竜とのカラミで初脱ぎとなるが、「残念ながら胸は小さい。そのことを彼女にインタビューで伝えたら『豊満な胸だったら悲哀の感じが出ないと思うんです』と堂々と答えてくれました」(秋本氏)という。同年には「私を抱いてそしてキスして」(東映)でも、赤井英和とのベッドシーンで全脱ぎしているが、秋本氏によれば「アイドルを卒業して女優でやっていくんだという心意気が見えました」とのことだ。
南野と同じく「スケバン刑事」シリーズでブレイクしたのが大西結花(51)だ。浅香唯、中村由真との風間三姉妹名義で歌った「Remember」(87年)は、「スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇」(86~87年、フジ系)の主題歌となり、チャート1位を記録した。
そんな大西には、もう一つの記録がある。それは「日本の映画で初めて脱いだ際にアンダーヘア披露したのだ。川端康成原作の「眠れる美女」(95年、ユーロスペース)で、歴史的瞬間は唐突に訪れる。
老紳士役の原田芳雄がドアを開けると、そこには湯上がりの大西が生まれたままの姿で立っている。カメラが全身をとらえると、形よく整ったヘアが映し出されるのだ。ボディこそあどけなさを残すが、秘毛は十分にオトナの匂いだった。
3人組では「わらべ」も人気を博し、デビュー曲の「めだかの兄妹」(82年)は88万枚の特大ヒットとなる。長女・のぞみ役だった高部知子(52)は、スキャンダラスな写真が報じられてで脱退したが、のちに「姐御」(88年、東映)で大胆なカラミに挑んだ。恋人役の石橋保にベランダで胸をまさぐられ、窓に高部の胸を押しつけながらの立ち姿での行為に発展。秋本氏によれば、「意外にボリュームのある」バストで、「アパートの一室での設定もリアリティがありました」という。
80年に歌手デビューも飾った三原じゅん子(55)は、映画「嵯峨野の宿」(87年、日活)で初カラミに挑戦したが、残念ながらセミ止まり。それでも、国会議員になったことを思えば、至宝の作品には違いない。