今週はジャパンCがメイン。来年で40回目になるが、その節目を前にした今年、外国馬の参戦が初めて見られなかった。いくら「招待競走」とはいえ、「うまみ」がなくなったことが、外国馬が敬遠する第一の理由に挙げられるだろう。
簡単に言えば、日本馬の質の向上である。どんなスポーツであれ、アウェイはやはり厳しいのだ。
それに我が国は、動物検疫にことのほか厳しい。競馬開催国のほとんどは、当該競馬場に隣接する、しかるべき施設で検疫を済ませることができる。しかし日本では、それができないのだ。であれば当然、調子を維持するうえで差が出てくる。
それでも以前は、互角以上に渡り合える力が外国馬にあったが、今の日本馬の質は欧米並みの国際レベルにある。外国馬に無理を強いるはずはあるまい。
第二は時期的な問題だ。ブリーダーズC(米国)と香港国際競走のハザマにあるジャパンCは、第一の理由もあり、「うまみ」のあるレースでなくなったのだ。
こうしたことから、「招待競走」にする必要もなくなっているのが、このジャパンCなのである。あとは賞金を上げるとか、レース時期を変更するかだが、いずれにしても外国馬の参戦がなかった今回が、ジャパンCを見直す大きな契機になることは間違いない。
さて、外国馬の参戦がない今年の顔ぶれはどうだろう。最強牝馬アーモンドアイは香港(香港C)へ、天皇賞・秋で6着に敗れた今年の皐月賞馬サートゥルナーリアは有馬記念直行で、なんとなく寂しい気がしなくもないが、それでもなかなかの好メンバーである。
先日行われた天皇賞・秋ほどではないが、GI勝ち馬が5頭、それに準じる馬も少なくなく、見応えある厳しい競馬が見られること請け合いだ。
過去のデータを見ると、このジャパンCに馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単での万馬券は4回(馬連は2回)。1、2番人気馬のワンツー決着は2回あるが、だからといって人気サイドの堅い決着が多いかというと、そうでもない。
1番人気馬は6勝(2着3回)、2番人気馬はわずか1勝(2着4回)と、まずは中穴傾向のGI戦と見るべきだろう。しかも超一流馬アーモンドアイや外国馬の名がないのだから、見応えある一戦が期待できると同時に、馬券的にもおもしろく、やや波乱含みと言っていいだろう。
穴党としてもそう見たいところで、人気どころの一角を中心に据え、そこから人気薄へと流してみたいと思っている。
最も期待を寄せたいのは、ワグネリアンである。
周知のように昨年のダービー馬だが、続く神戸新聞杯を勝ったあと、体調を崩してしまった。6カ月の休み明けとなった大阪杯は、期待されながら3着。再び4カ月半休んだあとの札幌記念は4着、そして先日の天皇賞・秋は5着と、人気ほどの走りは見せてくれていない。
そこがツケメだが、前走の天皇賞・秋は、体重が10キロ減。やや落ち着きを欠いており、本来の姿になかった。勝ったアーモンドアイには完敗したが、2着ダノンプレミアムとはコンマ1秒差。流れが不向きだったことを思うと、やはり評価せざるをえない。
この秋、一度使われたことで中間は大幅良化。1週前の追い切りも軽快で、実に雰囲気がいい。
「馬体がふっくらとして、稽古の動きもよく、今年最もいい状態」とは、友道調教師の弁。勝ったダービーと同じ舞台の競馬で、ジャパンCで最も実績を残す4歳馬でもある。
祖母ブロードアピールは重賞6勝の活躍馬で、スートラ(GIフリゼットS)、コロニアルウォーターズ(GIジョンA・モリスH)など近親、一族に活躍馬が多くいる良血。
当然ながら、再度頂点に立っていい馬である。