現時点では、日本ツアーで10勝をあげ、賞金王にも輝いたことのある石川のほうが断然、実績では上回っている。
それでも、松山の快進撃は、成績で「石川超え」を果たすのにさしたる時間を要さないのではないかと思わせるほどの勢いである。
「松山は『誰か1人に勝ってもしょうがない』と話しています。一方で、『出る試合は全部勝ちたい』とも口にしている。普通なら、そんなことは無理だろうが心意気として言っているのだろうと周囲は捉えるでしょう。でも、彼の場合は本気で考えているのではないかと思わされてしまいます。何せ、ベテラン選手たちが口をそろえて『早くアメリカに行ったほうがいい』と言うほど、スケールの大きな選手ですからね」(スポーツライター) 前出・高橋氏もこう話す。「今が頂点じゃありません。まだまだ進化している感じですね」
進化中の松山は肉体改造にも着手している。
すでに、アマとしてマスターズ出場をして注目を集めだした頃より体が一回り大きくなっているのだ。
「本人は『太りました』などと説明することもありますが、これまで経験したことのないツアーの連戦を乗り切るために、先を見据えて疲れない体作りをしているんです」(前出・スポーツ紙デスク)
どこまでも進化を続ける怪物だが、おごりはない。
「中高のゴルフ部での指導は、人間としての基礎を作る場だった。おかげさまで松山は、成績を残してもテングになるようなことがありませんでした。(高知県で開催される)『カシオオープン』の際には、ゴルフ練習場からは遠いのにわざわざ明徳を訪れて担任をはじめとする世話になった先生に挨拶に帰ってきてくれた」(前出・高橋氏)
プロデビューして3試合戦ったが、必ず試合後には高橋氏のもとに電話があったという。
「中日Cで2連覇はできなかったけど、『惜しかったね。でも、歴史に残ることはできたね』と声をかけると、こう返答してくれました。『これからまた歴史に残るよう頑張ります』」
松山の「遼超え」伝説は始まったばかりである。