“どじょう総理”が解散を宣言してから6カ月──。この半年間、「アベノミクス」旋風が席巻した。円安と株高が進み、デフレ脱却の明るい兆しが見えてきたというが、我々の懐はいまだ寒いままだ。なのに、「金持ち」だけには恩恵があるようで‥‥。安倍総理は庶民を「見殺し」にする気なのかッ!
サラリーマンが何度生まれ変わっても稼ぐことは不可能な金額が並んでいる一覧表がある。むろん、そこに並ぶ名前を見れば、日本を代表する企業経営者たちだ。サラリーマンなら味わうことがないであろう重圧の中、多くの難しい決断を下しながら現在の地位を築いた人々である。相応の資産があって当然である。
しかし、表の中にある「資産増加額」は、決して重圧にさらされることも難しい決断をすることもなく手にした資産なのだ。
この一覧表が発表されたのは、4月25日の参議院予算委員会。日本共産党の大門実紀史議員(57)が質問に立ち、
「誰が得しているかという話なんですけど、これは、私のほうで試算いたしましたけれど‥‥」
そう言って、一枚のパネルを提示した。それが〈アベノミクス相場で100億円以上資産を増やした個人オーナー株主〉と書かれた一覧表だったのだ。
野田佳彦前総理(55)が衆議院の解散を口にしたのが、12年11月14日。この日を境に、株式市場は潮目が変わった。現在の安倍晋三総理(58)が選挙戦を前に、デフレ脱却を目指す「アベノミクス」をブチ上げたのだ。
その後、株価は上がり続け、各経営者が保有する時価総額も膨らんでいるというわけなのだ。
ここでトップとなったのが、ユニクロを国内外で展開するファーストリテイリング社の柳井正氏(64)だ。なんと、この半年足らずで4047億円も資産を増額させている。ある経済ジャーナリストが言う。
「この増額分は、あくまで柳井氏個人名義の株式であり、3つの資産管理会社名義の株式も含めれば、8000億円以上の資産を増やしたことになります。昨年の有価証券報告書によれば、海外含むユニクロ全社員3万8339名(準社員及びアルバイト含む)の1年間の給与は839億円ですから、実に全社員の給料の10年分に当たります。そんな柳井氏が『(労働者の)年収が100万円になってもしかたがない』と言うのですから、庶民イジメの急先鋒と見られてもしょうがないのでは‥‥」
もちろん、経営者たちが手にしたのは株式の含み益であり、現金ではない。ところが、現金を手に入れている経営者もいる。
「楽天の三木谷浩史氏です。今年2月に信託銀行と信託契約を結び、三木谷氏と妻が保有する3600万株を売却することを発表しました。市場に影響を与えないように、使途や理由を公表せずに、少しずつ売却されていますが、4月中旬までに約132万株が売却され、120億円は現金化しています」(前出・経済ジャーナリスト)