「3本目の矢」である「成長戦略」も、第2弾まで発表された。女性の社会進出支援、今後3年間を集中投資促進期間とすることなどが推し進められそうだ。直接、賃上げにはリンクしない政策である。それどころか、戦略を練る「産業競争力会議」では、「クビ切り自由化」「残業代廃止」「限定正社員」とサラリーマンの給料アップとは逆方向の内容も話し合われている。
安倍総理は成長産業の現場を視察していたが、ぜひとも夜の繁華街も視察してもらいたい。
酔ったサラリーマンの姿が実に少なく、我々の懐事情がどれだけ寒いものかを実感できるだろう。
新宿・歌舞伎町でサラリーマン相手に居酒屋を経営する40代男性が言う。
「午後11時を過ぎると、まず一般サラリーマンのお客さんはいませんね。逆に、数年前から午前0時以降も営業するようにしたんです。不景気のせいで金持ち客がホステスとのアフターをケチって、私らみたいな庶民的な居酒屋に来ると聞いたのでね。確かに、サラリーマン客が減った分を補えるぐらいの客足はありましたよ。でも、『アベノミクス』効果で金持ち客が大金持ちになってしまったら、私らみたいな店には誰も来なくなってしまいますよ。以前から高騰していた輸入物の水産品は、円安のせいでますます値上がりしています。メニューをくふうしてやりくりするのも限界です。一刻も早くサラリーマンが一杯やりながら会社のグチを言えるぐらいには、元気になるようにしてもらわないと困るんですよ」
安倍総理はすでに財界に対して、賃上げを要請している。これが単なるパフォーマンスではないことを祈るばかりだ。でなければ、本当にサラリーマンは“見殺し”にされてしまう。