社会

アベノミクス「解雇にあたってビタ一文払う必要はない」

 安倍総理がもくろむ有期雇用制度の見直しは「非正社員」だけにとどまる話ではなかった。ここで再浮上してくるのが「事後的金銭解雇法案」。もともとこれは、解雇されたサラリーマンが裁判に訴えることを前提としている。しかし、これにはサラリーマンが自腹を切って裁判を起こさなければならないという壁が立ちはだかる。さらに問題なのは、元の会社を訴えたような人間を別の会社が、はたして雇ってくれるのかという点だ。

「結局、安倍総理も産業界も、実際に裁判に訴え出るサラリーマンは少ないと踏んでいる。しかも、ただでさえ不当なリストラが横行する中、事後的金銭解雇法案が成立すれば、会社側が『不服があるならどうぞ裁判で』と恫喝して、この法律を口実に解雇を乱発していくことは明らかです」(前出・政府関係者)

 その結果、これまで曲がりなりにも法律で守られてきた「正社員」が大量に解雇されていく。そして「非正社員」となった彼らに有期雇用制度の見直しが追い打ちをかけるという悪夢のようなシナリオなのだ。

 しかし、憤慨するのはまだ早い。虎視眈々の安倍総理周辺からは、

「有期雇用制度の見直しに続く第2幕として、これを正社員にも拡大適用しようとしている」

 という信じがたい声が聞こえてくるのだ。

 現行の労働契約法では、1回につき3年を超える非正社員の有期雇用は原則禁止されている。

 これは労働者が非正社員のままズルズルと使われ続けることを防止するための条項だが、逆に言えば3年以内の契約期間が終了すれば、会社側はいつでも労働者をお払い箱にできることを意味している。

 さらに、この条項が正社員にまで拡大適用されたらどうなってしまうのか。

「勤続年数が3年を超えれば、いつでもどこでも無条件でクビ切りできるということですよ」(官邸関係者)

 すなわち、日本の社会から正社員が消えてなくなることと同義。これこそが、先述の“本丸”たる「改定版・事後的金銭解雇法案」なのである。いや、正確にいうならば「金銭解雇」ですらない。官邸関係者が続ける。

「解雇にあたっては無条件という名のとおり、金などビタ一文払う必要はないからですよ。これこそ、産業界が求めたものです」

 ただし、いきなりやるとあまりにもインパクトが大きすぎることを考慮して、とりあえずは有期雇用の上限を3年から5年に延長するごまかしプランが実行されるという。

 最近は一部上場メーカーの大学院卒の社員といえども、30歳を過ぎるあたりから肩叩きが始まるといわれる。金のかかる正社員を5年で体よく使い捨てできれば御の字。もちろん、ゆくゆくはそれもまた3年に戻されていくのだが‥‥。

 

ジャーナリスト 森省歩

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
【高校野球】全国制覇直後に解任された習志野高校監督の「口の悪さ」/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」
3
エスコンフィールドに「駐車場確保が無理すぎる」新たな問題発覚!試合以外のイベントでも恨み節
4
「子供じゃないんだから」佐々木朗希が米マスコミに叩かれ始めた「温室育ち」のツケ
5
これも「ラヴィット!」効果…TBS田村真子アナ「中日×巨人で始球式」に続く「次に登板するアナウンサー」