国民的映画ともいえる「寅さん」シリーズが開始されてから50年。50作目の作品として山田洋次監督の「男はつらいよ お帰り 寅さん」が去る12月27日から公開されている。
寅さんを演じた渥美清さんは、1996年に亡くなったが、新作映画の舞台は“現代”。寅さんの妹・さくらの息子で小説家になった満男(吉岡秀隆)を軸に描かれている。満男の回想シーンで、寅さんと家族、マドンナなどが登場。公開から2週目に入っても、「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」、「アナと雪の女王2」に次ぐ3位を保っており、その人気の高さがうかがえる。
ところが、1月6日発売の「週刊ポスト」が、この映画の制作について世界的アーティストの横尾忠則氏が怒り心頭だと報じている。
それによると、横尾氏と山田監督は以前から親交があり、この映画のコンセプトとアイデアは、横尾氏の提案が核になっているというのだ。ところが、山田監督はそのアイデアで映画を作っていることを横尾氏にいっさい断りを入れず0号試写を見た横尾氏が憤慨し、山田監督に抗議の手紙を送ったが公開直前になるまで、その事実は公にされなかったという。山田監督に対して横尾氏は、「事実を隠蔽されたから怒ってるんではありません。モノづくりに携わるアーティスト同士のモラルが、あまりに欠けていることに呆れ、憤ってるんです」と記事の中で訴えた。
一方の山田氏は週刊ポストの取材に多忙を理由に松竹宣伝部が回答。それによれば、山田監督は、申し訳ないと思いだとしたうえで、当初は、横尾氏がイメージしていた実験的な内容でなくなったために名前を出すのは失礼だと思っていたとのこと。今後はよろこんで名前を出すつもりだという。
「とはいえ、この報道にネットでは『親しい仲でも距離感と礼儀が必要かと思う』『アイデアを出した人への配慮ができるかどうかで人間の質が見えてしまいます』などのコメントが多数寄せられています」(芸能ライター)
寅さんの復活を喜んでいたファンにとっては、何とも苦々しいエピソードとなったことだろう。