本格的な冬の季節になると、男なら誰もが思うのが「温泉宿への旅」であろう。さらに、美女と一緒であれば、そこは〈桃源郷〉である。そんな夢をかなえてくれる映画が、日本にはいくつも存在する。映画パーソナリティのコトブキツカサ氏が言う。
「倍賞美津子の『復讐するは我にあり』(79年、松竹)や、黒木瞳の『失楽園』(97年、東映)は、野天風呂での情欲シーンを描いた不朽の名作です。これに忘れてならないのは、勝新太郎の代表作『座頭市』(89年、松竹)での樋口可南子ですね」
勝新自身が監督を務め、シリーズの集大成として大ヒットした。ここで樋口は、どういう役を演じたのか?
「背中一面に刺青を入れた女親分の役。座頭市役の勝新が暗闇の野天風呂に入っているところへ、一糸まとわぬ姿の樋口も入湯します。樋口が湯の中で勝を抱きしめると、勝もそれに反応する。このシーンは今でも鮮烈に覚えています。手の届かない存在の樋口が、こんなふうに積極的な役を演じるんだとギャップに燃えました」
ギャップといえば、庶民的な役どころが多い多部未華子だろう。映画評論家の秋本鉄次氏が語る。
「主演作『ピース オブ ケイク』(15年、ショウゲート)は、“PG12指定”という多部ちゃんらしからぬ仕様です。恋愛依存症の女性役で、綾野剛にタンクトップを脱がされ、細い背中と意外に大きな胸を見せてのベッドシーンは強烈でした。さらに1メートル四方の狭い浴室で、綾野から抱きかかえられるように泡だらけでいちゃいちゃする。奔放な役のせいか、ボディまで悩ましく進化していた。女優としてみごとな憑依ぶりでした」
ほかにも「浴室のベッドシーン」を描いた傑作21本を、1月14日発売の「週刊アサヒ芸能」1月23日号が詳しくリポートしている。湯けむり気分に浸れることは間違いないだろう。