社会

“過労死”女性従業員遺族が「ワタミ渡邉会長を号泣告発」(4)遺族に会おうとしない

 例えば、〈30分以内に社宅を用意すると言いながら、なぜ深夜勤務後、始発電車が出るまで帰れないところに、社宅を定めたのか〉と問いただしても、〈貴重なご意見として承らせていただきます〉との回答。午前3時過ぎに深夜勤務を終えた森さんが始発まで店に拘束され、睡眠時間が短くなったことへの反省の色はまったく感じられない。

 せめて店に仮眠室があれば、疲労の度合いは違ったはずだ。そこで、遺族は〈なぜ、身体を横たえることができる休憩室がなかったのか?〉とも聞いたが、ワタミ側は〈(労働安全衛生規則にある)休憩室の定義は、体を横たえることができなければならないとはされていない〉と回答している。そして、休憩室の写真と図面を示されたが、森さんが勤務していた久里浜駅前店とは別の店舗のものだった。

 また、〈なぜ、深夜勤務を終えて、普通なら眠っている時間帯に、本社まで出勤をさせて新卒研修会を行うのですか〉と遺族が聞いても、〈貴重なご意見として承らせていただきたいと思います〉と答え、非を認めてはいない。

 さらに、残業の設定には法律上、労働者から選ばれた代表との間で「時間外労働・休日出勤に関する協定(36協定)」を結ぶ必要があるが、当時は経営陣が選んだ勤務歴の長いアルバイトとの間で結んでいた。遺族がこのことを聞くと、〈現在は代表者選出を従業員から署名を得て行っております〉とすでに改善されていることだけを答える。

 森さんの勤務時期の労働実態を解明したい遺族に、ワタミ側は真摯に答えているようには見えない。

 そのせいか、再々質問書にある追加質問には、より厳しい質問が並ぶ。ワタミの内部文書にある「朝起きてから寝るまで働け、起きている間が労働時間だ」を取り上げ、〈安全配慮義務違反を実証する発言ではないですか〉と問いただしている。また、渡邉氏に対しても〈『死ぬまで働け』と言ったということはありませんか〉と質問をブツけている。

 遺族の渡邉氏への怒りが込み上げるのも、当然と言えるだろう。なぜなら、森さんの死後、渡邉氏は一度も遺族に面会していないのである。むろん、遺族と渡邉氏が対面したところで、森さんが帰ってくるわけではない。両者が抱える問題が氷解するものでもない。

 しかし、社を代表する人間として、遺族の顔を見てわびのひと言があってもいいのではないだろうか。

 そこで、本誌はワタミに対して、「ご遺族に直に会う考えはないのか」「労働実態の解明や改善をせずに金で解決しようとしているのか」など、複数項目の質問を送ったが、期日までに回答を得ることはできなかった。

 渡邉氏は出馬表明した同日に、公式サイトで「ブラック企業」批判に反論している。離職率や年収など、その基準をクリアしていると主張。時間外労働に関しても、

〈ワタミの外食事業の平成24年度月平均38・1時間。これは36協定で定めた上限45時間を下回っています〉

 しかし、ネットでは〈表にならないサービス残業が問題なのに‥‥〉や〈年間平均にすると36協定を破っている〉と、批判を封じ込めるどころか火に油を注いでいる。

 第一次安倍政権で教育再生会議のメンバーを務めた渡邉氏。安倍総理から直接の出馬要請を受けたほど、2人の息はぴったりだ。

 安倍総理がお経のように唱える「成長戦略」という言葉。本誌には「ブラック企業だけが成長する戦略」と聞こえてきてならないのである。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
3
沖縄・那覇「夜の観光産業」に「深刻異変」せんべろ居酒屋に駆逐されたホステスの嘆き
4
段ボール箱に「Ohtani」…メジャーリーグMVP発表前に「疑惑の写真」流出の「ダメだ、こりゃ!」
5
巨人が手ぐすね引いて待つ阪神FA大山悠輔が「ファン感謝デー」に登場する「強心臓」