ワタミの給与天引きについては先の号外で、元社員の話をもとにこうも書かれている。
〈「ワタミの森」という植林事業のための寄付は一口100円。「夢プロジェクト」は150円。「スクールエイドジャパン」は一口1000円。研修会の場で「寄付していない人は残ってここで申し込んでから帰って下さい」といわれ、申し込まざるをえなかった。こういった寄付は、給与から毎月天引き〉
「スクールエイドジャパン」はカンボジアなどの貧困国に学校や孤児院を作って教育支援する公益法人で、渡邉氏が代表理事を務める。渡邉氏は公式サイト上で、現地の様子を撮影した動画を何種類も紹介。これは、低賃金の社員からむしり取った「寄付金」で運営しているにもかかわらず、あたかも渡邉氏個人で慈善事業を行っているかのような映像を使ってイメージアップを図り、選挙での売名に利用していたことにならないか。
再び田村氏が指摘する。
「休日も研修をさせられる。過労自殺者が出た時に問題にされ、もうやめたと言われていますが、告発した元社員は『そんなことはない。今も研修というのはあるし、レポート提出も求められる』と言う。渡邉氏に共感したレポートを出せば評価され、そうでなければだんだん相手にされなくなっていく。話を聞いていると、宗教かと思うような‥‥会社というより信奉者を作っているんじゃないかと。寄付までさせているところを見ると、まともな会社とは思えないやり方ですよね。植林、夢プロジェクト‥‥いろんな名目でむしり取って、自分の名前を売るために使っていることになる。あるまじき行為ですよ」
共産党は東京選挙区で、ブラック企業対策と雇用問題を前面に押し出した吉良佳子氏(30)が議席を獲得。ワタミ元社員が駆け込んだ「雇用と就活対策室」の室長であり、田村氏同様、その名前をもじって「美人ワタミキラー」と呼ばれる急先鋒だ。彼女は選挙中の街頭演説で「許せないのはブラック企業」と前置きして、次のように断罪した。
「ワタミという会社で働いていた男性の話を聞く機会がありました。彼は休みもなく月250時間の超過密長時間労働、深夜残業をさせられたにもかかわらず、給料はどんどん天引きされて、手取り月数万円のこともある。これでは生きていけないと会社を辞めた彼は『僕はあの会社に勤めて、“夢”という言葉が嫌いになった』と話していました」
前出・田村氏は言う。
「これからは吉良さんも国会に来ますし、大キャンペーンを張りますよ。(ワタミは)ここまで言われて、こういう事実を示しているわけですから、ワタミの労働実態を個別に調査しろと厚労省に要求していきたいですね」
ワタミ=渡邉氏を追及し、まんまとデビューする国会から「抹殺」せんばかりの宣戦布告なのである。