事故や転倒、スポーツなど「骨折」はさまざまな場面で起こる。
まず、骨折したかどうかの見分け方を説明したい。骨折の痛みは捻挫や脱臼よりも強く、指で骨の患部を押した際に極端な痛みを感じた時は可能性が高い。また、痛みを感じる患部を動かせなかったり、腫れて盛り上がっていたり、変形が生じることもある。
応急処置としては、患部を刺激しないように、添え木などで固定し、安静にすることで苦痛を軽減できる。「骨をもとに戻して固定すればよい」という意見もあるが、これは素人にはかなり難しいのでおすすめできない。できるだけ患部を触らずに、動かさない状態で早急に整形外科を受診することが必要だ。
骨折の原因の多くは外傷によるものだが、疲労や病気の場合もある。「疲労骨折」は通常の骨折とは違い、同一部位の骨に疲労が蓄積することで、小さなひびができて起こる。そのため、スポーツなどで短期的に過度なトレーニングを繰り返し行った時に発症しやすい。
「病的骨折」は、骨粗鬆症などにより、骨の強度が低下して発症する。特に骨粗鬆症による「脆弱性骨折」は、骨がもろくなったり筋力が低下して、転びやすくなることで起こる。高齢者だけでなく、最近では、若い人にも起こる。
大人が骨折すると、骨がつながるのを待つ保存療法を行うのがほとんどだ。ただし、骨折以前の形に戻すのが困難な場合や、関節や足の骨などは手術の可能性もある。
骨折の予防としては、骨密度を低下させない食事が重要だ。牛乳や小魚などのカルシウムやサンマ、卵などのビタミンDを同時に摂ることで、腸内でのカルシウムの吸収率が高くなる。栄養やカロリーのバランスがよい食事で骨折しない体づくりを。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。