アメリカのトランプ大統領は3月12日、新型コロナウイルスの感染防止を目的に現地時間13日からの30日間、ヨーロッパからのアメリカ入国を停止すると発表した。イギリスは除外されるほか、アメリカ人とその家族は対象外となる。
この措置に対して賛否さまざまな意見が噴出する中、アメリカのスポーツ事情を知る関係者からは「30日間」という期限に注目する声もあがっている。この時期にこの期限を決めた背景には、アメリカで大人気のバスケットボール観戦が大きく影響しているというのだ。
「プロバスケットボールのNBAは3月11日、選手に感染者が発生したことを受け、進行中のシーズンを中断すると発表しました。その一方でカレッジバスケの全米大学トーナメントについては、全米大学体育協会(NCAA)がスケジュール通りの開催を表明しています。この決定により、大衆文化の観点では30日間の余裕ができたと言えるのです」(アメリカンスポーツに詳しいスポーツライター)
NBAでは各チームが64~67試合を消化。残りゲームがすべて中止になった場合には、現時点での勝敗を基準にプレーオフ進出チームが決まるものと見られている。8年前の2011~2012シーズンにはリーグと選手会の契約交渉が難航し、最初の2カ月が中止に。そのため同シーズンは通常の82試合制から66試合制に短縮して開催されており、その前例にならえば、今シーズンもここでレギュラーシーズンを終えることに問題はないというのである。
「全米の注目が集まるプレーオフは4月18日に開幕する予定。それまではNBAの試合こそないものの、NBAに勝るとも劣らない人気を誇るカレッジバスケの優勝争いが行われるため、バスケ好きにとっては《見るべき試合がない》という事態は避けられるわけです。未知のウイルスに米国民が戦々恐々とする中、米政府としては国民が熱狂できる大衆文化を維持し続けることが重要課題の一つ。それゆえ4月18日のNBAプレーオフ開幕を無事に迎えられることがデッドラインとして設定されたと言えるかもしれません」(前出・スポーツライター)
カレッジバスケのトーナメントでは無観客試合の可能性も取りざたされているが、学生スポーツでもテレビ中継が普及しているアメリカゆえ、ファンは画面越しにお気に入りのチームを応援することになりそうだ。
(金田麻有)