米NBAのワシントン・ウィザーズからドラフト一巡指名を受けた八村塁が、デビュー戦を勝利で飾った。八村はオフシーズンに開催中の「サマーリーグ」にて7月6日(現地時間)、ペリカンズ戦に先発出場。14得点、5リバウンド、1アシストをマークし、初のNBA実戦でその実力を示してみせた。
8日朝の情報番組では各局で八村の出場試合を紹介。ゴール付近に飛ばしたパスを空中でキャッチし、そのままダンクシュートを決める大技の“アリウープ”について詳しく紹介するなど、八村の活躍ぶりを詳報していた。だが、その放送内容に違和感を抱く視聴者も少なくなかったという。スポーツライターが指摘する。
「番組では八村のアリウープを何回も映し出していましたが、その映像はゴンザガ大学に在籍していた昨年のもの。今回のサマーリーグについては映像ではなく、写真で紹介していたのです。その理由は、NBAの日本における放映権を楽天が独占しており、各局では試合映像を自由に使うことができないため。もちろん楽天にお金を払えば映像を使えるのですが、スポーツ報道用の映像は通常、テレビ局同士が無料で融通し合うもの。しかし楽天が運営する“RakutenTV”はあくまで配信サービスであって放送事業者ではないので、無料利用を認めていないのではないでしょうか」
楽天ではNBAとの間で17年に、5年254億円(推定)の大型契約を締結。日本におけるNBAの放送権は楽天が独占することになり、他の放送事業者は楽天から映像を買うこととなった。それまでNBA中継に注力していたWOWOWやNHKが試合中継から撤退したのは、楽天との契約が原因だと言われている。
このNBA放送権独占については、古くからのバスケファンを中心に批判の声が根強い。その一方で、若者からはむしろ歓迎の声も出ているというのだ。スポーツライターが続ける。
「以前はNBAの試合を見るためには自宅にアンテナを設置し、BSやCSのチューナーも用意したうえで、NHKの衛星放送やWOWOWと契約する必要がありました。これが若者にとっては面倒このうえないことに加え、マンションやアパートではアンテナを設置できないケースも多く、NBAを見たくても見られないというファンが少なくなかったのです。それが現在は『RakutenTV』と契約するだけで、自分のスマホやパソコンでいつでも試合観戦が可能。データをスマホなどにダウンロードして出先で見ることができる機能も用意されているので、ネット視聴に抵抗のない若者たちからは《こっちのほうが便利でいい》という声があがっています。しかもそういった若者はテレビの情報番組を見ないので、番組内で試合映像が使えないことなど知るよしもありません。このように同じNBA好きでも、オジサン層と若者の間では楽天に対する評価がすっかり二分している状況です」
はたして八村の試合をネットで見る流れは定着するのか。ファンの動向が気になるところだ。
(金田麻有)