コロナ禍が広がる中、盛り上がりを期待するのは無理としても、GIシーズンに突入すると、つい気合いが乗ってくる自分がいるのを認めてしまう。
なんとも妙で不思議な気分になるが、それだけ競馬が好きということ。そうであれば、この災禍をぶっ飛ばすべく「馬券的中の快打」を連発して、少しでもファン、読者諸兄に喜んでもらえればと思う。
今週は大阪杯(阪神、芝2000メートル)がメイン。GIに昇格してまだ4年目だが、なかなか重厚で、過去3回の勝ち馬は17年キタサンブラック、18年スワーヴリチャード、19年アルアイン。いずれもGI戦で好走実績のある、名を成す力量馬が勝っているレースである。
今回もGI勝ち馬、それに準ずる力量馬がズラリと顔をそろえた。となれば、大きく荒れる可能性は低い。03年に馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単での万馬券は3回(馬連は1回)。この間、1番人気馬は8勝(2着4回)、2番人気馬は2勝(2着3回)。比較的堅く、いわば本命サイドでの決着が多い。
とはいえ、1、2番人気馬のワンツーは2回のみ。このへんは、やみくもに人気、有力どころを信頼するのではなしに、よく吟味すべきだということだろう。
実績上位馬に敬意を表しつつも、まだ伸びしろ十分な4歳馬、充実著しい5歳馬には特に目をつけ、調子のよしあしを見極めることが重要になってくる。とにかくこのレースは4、5歳馬が圧倒的に強く、人気薄でもよく連対を果たすからである。
今回はどうだろうか。4歳の代表格といえばダノンキングリーで、5歳のそれはブラストワンピース。この両馬が人気を分け合うことになるのは間違いない。
それと怖いのは牝馬の存在だ。過去17年で牝馬が制したのは2度あり、4歳時のダイワスカーレット、5歳時のラキシスで、ともにGI勝ち馬だった。その意味では今年初戦となった京都記念を制して勢いに乗る4歳クロノジェネシス(秋華賞)と5歳ラッキーライラック(エリザベス女王杯)は、極めて注目すべき存在だろう。
こうしたメンバーなら、より人気サイドの堅い決着が濃厚になってくるが、当欄としては、禁じ手と言われても、やはり人気薄に目をつけてみたい。
穴党としてイチオシしたいのは、カデナである。
ここでは言うまでもなく格下だが、ここにきて本来の姿を取り戻したようで、前走の小倉大賞典を勝って勢いに乗っているばかりか、この中間はさらなる良化ぶりを見せているからだ。
その前走はハンデ頭をものともせず、荒れた馬場の中、最速の上がり脚での完勝劇だった。こちらは6歳馬。弥生賞以来、約3年ぶりの重賞勝ちだったが、休み休み大事に使われてきたのがよかったようで、衰えはまったく感じられない。
1週前の追い切りも文句なし。実にリズミカルな動きを披露していた。
「ひ弱さがすっかり影をひそめて、たくましくなっている。思いどおり強い稽古ができるのは、そのため。前走以上で、実にいい雰囲気にある」
こう厩舎スタッフが口をそろえて状態のよさを強調するほど。これだけ仕上がりがいいのであれば、狙わない手はない。
2000メートルは得意とする距離(4勝中2勝)で、阪神で初勝利をあげているようにコースとの相性もいい。相手は強いが、いわばこの馬にとって、ここは走れる条件がそろっている。
近親にこれといった大物はいないが、母系は欧州の一流血脈。良馬場条件に大駆けを期待したい。