「ワタミキラー」議員を「しんぶん赤旗」も援護射撃。あらゆる角度からワタミを監視し、実態を報じているのだ。
例えば〈ワタミ 選挙もブラック〉との見出しで、渡邉氏がワタミの株主に送った文書に関する記事。文書には、渡邉氏の出馬表明とそれに至る経緯が書かれているが、株主名簿を目的外利用したことになり、会社法違反の疑いがある、というのだ。
ワタミグループの弁当配達会社が展開する「ワタミの宅食」でも、宅配員に「お客様各位」と題する出馬表明文書を配布させた。渡邉氏は宅配員にも「応援してください」と書かれた手紙を投函したという。
さらには、老人介護施設を運営する「ワタミの介護」が、系列の老人ホームに有権者名簿の提出を求め、従業員に渡邉氏の選挙応援を強制。赤旗編集局の栗田敏夫社会部長は言う。
「従業員の家族、親戚、友人、知人などの名前と連絡先を書かせるというものです。これは企業倫理としていかがなものか。従業員は弱い立場で、組織を使った依頼は事実上、断れませんから。ある種のパワハラと言えますし、名簿作成はサービス残業をしているようなもの。これに類する話で、居酒屋『和民』の入り口には渡邉氏の選挙ポスターが貼られ、レジ付近にはサポータークラブ(後援会)のチラシが置いてありました。株主や介護施設利用者に出した立候補の挨拶文といい、当選のためにワタミの全組織を使っている。組織ぐるみの、いわゆる『ぐるみ選挙』です」
前出・田村氏も追随する。
「(6月18日の参院厚労委員会での)質問後、ワタミの介護施設で働いている複数の方から『介護の現場もひどいです。もっとやってください』というメールが届きました。利用者の方からも『職員の入れ代わりが激しすぎる』と。どんどん辞めていくわけで、『ぜひこの実態も調査してほしい』ということでした」
ブラック議員を誕生させた自民党。じきじきに出馬要請した安倍晋三総理(58)は、4月に「若者の使い捨てが疑われる企業等への対応策の強化」というブラック企業対策を発表し、悪質・問題企業の司法処分と企業名公表などを提言したが、前出・栗田氏は、
「渡邉氏の立候補と並行して、提言にあった文言は自民党の参院選公約から全て消えました」
と言って、さらなる追及の意思を表明するのだ。
「今後もワタミに関する証言者を集め、異常な労働実態を明かしていく。こうしたものを正常化することで、他のブラック企業と言われるところの是正にもつながると思います」
「共産党VSワタミ=渡邉氏」の真っ向対決。「大キャンペーン」による論戦後、渡邉氏に投票した有権者はそれでも支持を続けていられるのかどうか──。