「今まで一生懸命、小百合のいいところを見ようと、応援してきました」──。日本随一の「清純派」大女優と公私にわたり交流を持ったサユリスト作家が、惜別の告白を決意。過去を封印し、作られたイメージに連綿として年を重ねる。そんな彼女の姿に失望感を抱き、「奔放で多情な真の姿を見つめるべき」とメッセージを送るのだ。
「これまで、手紙でもファクスでも苦言を伝えたんです。いい時を知っているだけに『小百合はこんなもんじゃない』と思い、無理やりいいところを見つけてホメたこともありました。でも近年の彼女は、平板でただおとなしく演じているだけで、ハッとさせる魅力がない。何とか目を覚ましてほしかったけど‥‥」
こう語るのは、作家の中平まみ氏。「泥だらけの純情」「俺の背中に陽が当る」「光る海」といった吉永小百合(68)の主演作品を撮った映画監督・中平康氏を父に持ち、吉永とは家族ぐるみのつきあいをしてきた彼女は、かつて吉永ファンクラブの会員でもあった。そんな熱烈なサユリストが吉永と疎遠になる出来事があったという。
「映画『千年の恋 ひかる源氏物語』(01年・東映)の試写を見たこと。あまりにおもしろくなくて『途中で退席しました』と手紙を書いたら『褒めて下さるまでお会いしません』と返信が来たんです。ただ、会わなくとも、誕生日のプレゼント交換や手紙のやり取りは続きました」
決定的だったのは、中平氏が11年に出版した著書「小百合ちゃん」(講談社)。吉永の数々のロマンスや結婚、撮影秘話などの「過去」をしたためつつ、辛口エールを贈った内容である。中平氏によれば、
「発売前から事務所サイドの『どんな本になるんですか。おやめになったほうがいいですよ』との“忠告”があり、法的手段に出るだの何だのと言ってきたので、小百合ちゃんには『邪魔しないでください』とファクスを送りました。事務所は『今、これからなんですから、昔のことは‥‥』と言うし、過去には触れられたくないんじゃないですか。発売後は表紙のイラストに『肖像権の侵害だ』と抗議が来ました。よかれと思って書いた本だから心外、不本意、残念です。彼女こそが映画界にもっと活気をもたらせられる人なのに」
中平氏は吉永を「多情な女」だと言う。吉永の付き人からは「何人か結婚しようと思った人はいるんです」との打ち明け話も聞いている。そんな「多情な交遊ぶり」を糧にすることで、女優・吉永小百合としての原点を見つめ、幅を広げることになる、と考えるのだ。その「最後のエール」として、先の「小百合ちゃん」に書かれなかったことも含め、「真の小百合」の姿を知ってほしい、と──。
過去、吉永のロマンスの相手として「噂」が報じられた相手は山本學(76)、山本圭(73)、浜田光夫(69)、中尾彬(70)、加藤剛(75)、石坂浩二(72)、渡哲也(71)などだ。中平氏は言う。
「山本學・圭兄弟への思いは相当強かったでしょうね。新劇系の人には弱いから。加藤に対しては『なんて立派な顔の人だろうと思った』と言い、好きだという気持ちは伝わっていたものの、婚約者がいた加藤は困惑していた、と」