高視聴率にとどまらず、挿入歌はCDランキング初登場第2位! 観光客が押し寄せるロケ地に生み落とされた経済効果は30億円超! まさに、向かうところ敵なしの「あまちゃん」の前に、思わぬ強敵が現れた。牙をムキ出しにしたのは、あの“大物歌手”だという。じぇじぇじぇ、あの名ゼリフがもう聞けないなんて、おら、涙が止まんねぇ~。
「これぞ前代未聞! まさに“じぇじぇじぇ~”な話ですよ。まさかドラマ本編に出演していない聖子ちゃんから、あんな猛抗議が来るなんて‥‥」
こう話すのは、困り顔のドラマ関係者。その騒動の舞台は、NHK朝の連続小説「あまちゃん」である。
4月のスタート以来、平均視聴率は20%を超え、老若男女、幅広い視聴者から支持を集めている。人々を魅了しているのは、押しては寄せる波のように、笑いと感動が交互に繰り出されるストーリー展開にある。
現在は「東京編」を放送中で、ヒロインの天野アキ(能年玲奈=20=)がアイドルとしてブレイク寸前まで物語は進んでいる。そのアキを支えるのが、小泉今日子(48)演じる母親で所属事務所社長の春子だ。作中では、かつてアイドルを目指して上京するも夢破れた経歴の持ち主となっている。
この小泉がアイドルになれなかったという摩訶不思議な世界を想起させることも視聴者を引きつける要因の一つでもある。それほど、春子が目指していた芸能界が実にリアルに描かれ、実在した80年代アイドルの映像が使用されているのだ。
そして、松田聖子(51)がかみついたのも、まさにこの部分なのである。
前出・ドラマ関係者によれば、聖子サイドが問題視したシーンは5月14日に放送された第7週「おらのママに歴史あり」の第38話にあるという。アキが「訛りすぎる海女」として注目を集め始めた頃に遡る。再現すると──。
春子がアイドルを目指していたことがあるという秘密を友人から聞いたアキは、その証拠を探そうと母親の部屋を物色する。
それに気づいた春子が部屋に入り込み、ついに「アイドルになりたかった」と衝撃の告白をする。
「今は歌を歌う人はアーティスト、演技する人は女優、モデルはモデル、住み分けができてるでしょ。でも昔はね、ぜ~んぶアイドルがやっていたの」
そう言うと、春子は山口百恵、キャンディーズ、ピンク・レディーなどをあげて往年のアイドル史の説明を始める。
「みーんな夢中だったのよ、聖子ちゃんには。何しろ歌が上手い! もちろんかわいい! ぶりっ子って言葉の語源は聖子ちゃんだからね。かわい子ぶってるのに、同性に嫌われない。むしろ憧れの対象だったわけ‥‥」
と語ったところで、画面はすかさず80年に聖子が初出場を果たした紅白での「青い珊瑚礁」の映像に切り替わる。
「そうやって応援しているとさ、なんかこう、元気が出てくんのよ、自分も。わかる? それがアイドルの条件だと思うわけ」
部屋のドアには聖子の1stベストアルバムのポスターが貼られていた──。
みごとに全盛期の80年代のアイドル像を言い当てている。しかも、その後の伏線とも言える場面であり、娘が封印されていた母の過去に触れ、絆を深める感動シーンでもある。
◆アサヒ芸能8/20発売(8/29号)より