いったいどこに聖子を怒らせたポイントがあるというのか。
「聖子サイドが問題視したのは『ぶりっ子の語源は聖子』という部分だったというのです。アーティストとしての活動を優先しているだけに、いまさら過去のイメージを掘り起こされては困るということのようです」(前出・ドラマ関係者)
一般的にテレビ局にとってドラマはドル箱と呼ばれている。本放送後はタダで再放送を繰り返せるからだ。
民放局プロデューサーがこう続ける。
「その一方で、ドラマは『権利物のかたまり』とも言われ、挿入歌の著作権、映り込むポスターの人物の肖像権、コップや商品の小道具に至るまで、あらゆる権利関係を本放送前にクリアにするのが常識です」
では、NHKは「あまちゃん」において、聖子サイドにお伺いを立てなかったのだろうか。
前出・ドラマ関係者はこう答える。
「ご存じのとおり、作中には80年代の懐かしの楽曲、替え歌、その他の小ネタやパロディがオンパレードなだけに、細心の注意を払っています。朝ドラ史上類例がないほどの権利処理料が発生していると言われるほどです。ジャケット写真の使用ぐらいなら、レコード会社に許可をもらえば済みますが、映像を使っているのですから、当然のように聖子ちゃんの事務所には事前に許諾を得ています。ただ、セリフのフレーズ一つ一つまでいちいちお伺いを立てていたら台本が追いつかなくなってしまう」
しかし、それでは不十分だったようだ。
「聖子クラスになると、本人出演はなくとも、ドラマや番組でのセリフや名詞としての『聖子』の扱われ方を事前にチェックする必要が出てきます。『ぶりっ子』以外にも『うそ泣き』、過去に浮き名を流した男の名前もNGワードです。何より聖子にとっては、自分はまだ“現役”という意識が強い。過去の曲や話題で食べるつもりはないというアーティストとしての高いプライドがこの騒動の背景にあるのではないでしょうか」(前出・民放局プロデューサー)
まさかの冷や水を浴びせられたことで、NHKの担当部署は「じぇ」の声も出ないくらい沈んでいるという。
「ドラマの収録はすでにクランクアップしたものの、能年ちゃんも『あまちゃん2』をやりたいと言っていたほどで熱気は消えていません。局内でも放送後の特番のほか、岩手でのファン感謝祭など『あまちゃん』関連のイベントや企画が次々に立ち上がっています。レコード会社などからもさまざまな企画が持ち込まれており、まさに『あまちゃん祭り』の真っ最中なんですが‥‥」(前出・ドラマ関係者)