今年のNHKドラマの話題はすっかり「あまちゃん」一色。一方、鳴り物入りで年初にスタートした大河ドラマ「八重の桜」の視聴率はいまひとつ振るわない。低迷脱却を焦ったのか、史実や現実を無視した演出が指摘されて……。
前半のクライマックスである会津城攻防戦が展開された第28回(7月14日放送)で登場した「焼き玉押さえ」シーン。新政府軍が会津城に打ち込んできた砲弾を、着弾地点で綾瀬はるか(28)扮する八重が濡らした布団をかけ押さえ込み、爆発を防ぐというエピソードが流れたのだが、日本史に詳しいライターの南郷大氏が言う。
「爆発を防ぐ様子を見た主君に呼ばれた八重は、新政府軍の砲弾の構造を説明。砲弾は爆裂弾であることを説明し、濡れた布団で押さえ込めば爆発を防げると教える。で、八重は城内の他の婦女子にもこの方法を教えるが、八重の親友がこの方法での消火に失敗、爆死するという展開になります。ところが、当時はまだ爆裂弾はなく、砲弾といえばまるごと鉄や石を打ち込む方式なんです。ただし、鉄を真赤になるまで熱し、周囲に火災を起こす焼き玉式焼夷弾はあり、それを防ぐのが本来の焼き玉押さえ。だから『爆発を防ぐ』という八重の説明は誤りで、爆発を防ぐにせよ、覆いかぶさるのではなく水をかけたりしたほうが合理的。無理に“決死行動”を演出しようと、焼き玉押さえ本来の意味を改変したとしか思えません」
他にも第24回では、二本松藩で負傷した少年兵士が約70キロも離れた会津城下の藩校「日新館」で治療を受けるなど、当時の交通事情を無視した演出もあったという。これには綾瀬も困惑しているのではないか。