エンタメ

我が青春の週刊少年ジャンプ(8)「魁!!男塾」は“ジャンプらしさ”が詰まった作品

 バブル前夜に連載が始まった「魁!!男塾」は、本宮ひろ志氏の作品を思わせる画風で、一見シリアス。だが初期には直接的、中盤からは婉曲的な“ギャグ”がちりばめられたとも言える、何とも破天荒な独自世界が繰り広げられていた。豪快な「制作秘話」を、作者の宮下あきら氏が語り尽くした!

「わしが男塾塾長、江田島平八である!!」

 このセリフを覚えている人も多いだろう。

 男臭い劇画調の絵柄で、長ラン姿の男たちが活躍する姿を描いた、宮下あきらの「魁!!男塾」に登場する江田島平八の決めゼリフだ。

「週刊少年ジャンプ」が発行部数400万部の大台を超えていこうとする1985年に連載がスタートしたこの作品は、当初は80年代の軽い時代の空気を皮肉るような軍人風教育を施す「男塾」を舞台にしたギャグ作品だった。

 それが主人公・剣桃太郎と先輩たちとの勝負を皮切りに、徐々に塾生たちの命がけのバトル中心の物語にシフトしていくこととなる。

 79年に始まった「キン肉マン」(ゆでたまご)もそうだったように、ギャグ作品から始まったものの、いつしかバトルものへと内容が変化し、人気作になっていくというのは、少年ジャンプにおける一つの黄金パターンとも言える。

「魁!!男塾」はその典型例であると同時に、我々が思い描く“ジャンプらしさ”が詰まった作品だ。

 そんな宮下自身が漫画の世界に飛び込むことになるきっかけも、実に当時のジャンプらしい躍動感がある。宮下がこう振り返る。

「20代の半ば頃かな。当時バンドマンをやっていたんだけど、食えなくてさ。それで子供の頃好きだった漫画を描く仕事に就こうと思って、ジャンプに持ち込みに行ったんだ。(「銀牙 ─流れ星 銀─」などで知られる漫画家の)高橋よしひろ先生を紹介されて、そのアシスタントに入ったんだけど、同じフロアで(「男一匹ガキ大将」などを描いていた)本宮ひろ志先生も仕事をしていてね。おふたりのところに出入りしているような形になっていった」

 宮下いわく、漫画経験は、「小学校の頃にちょこっと描いてたかな。学校で『うまいね』って言われる子がいるでしょ? そういう子だった」

 とか。バンドマンが一転、漫画家になって再スタートを切ろうという決断自体も大胆と言えるが、自身の漫画家デビューのいきさつも作風同様に豪快だ。

「ある日、本宮先生に自分の原稿を読んでもらったら、『おもしろい』って言って、すぐ編集者を呼んでくれてさ。それで、その場で連載決定。いきなり3回連続巻頭カラーで、その時に見せた『私立極道高校』っていう作品の連載が始まったんだよ。ジャンプもあの頃、本当に勇気があったよね。読み切りもなく、いきなり新人の連載決めるんだもん」

 即断即決で新人起用。他誌からすれば異例の決断だが、本連載でも触れたように、新人発掘に力を入れる当時の少年ジャンプでは、こんなことも珍しくはなかったのだ。

 突如、週刊連載を始めることになった宮下は、その後、集英社の近くにあった「錦友館」というホテルにカンヅメとなり、原稿を描いていくこととなる。このホテルはジャンプ御用達のホテルで、当時も多くの作家が事実上、「住んでいた」状態だったという。

カテゴリー: エンタメ   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
「反大谷翔平」の上原浩治に「直球質問」をぶつけたら返ってきた「絵文字」が…
2
東京ドームで観客半分の「プレミア12」にサッカーファンが「シラケる」挑発バトル
3
なんだこりゃ!岡田将生の電撃結婚を「完全スルー」した「めざましテレビ」の担当は元カノ鈴木唯アナ
4
「メジャー挑戦」佐々木朗希はドジャース入りでなく千賀滉大や前田健太のように孤軍奮闘せよ
5
大谷翔平「MVP受賞映像」で「真美子夫人の妊娠説」が噴出したワケ