2018年からスタートした麻雀プロリーグ「Mリーグ」。40代までの選手が大半を占める中、若手選手をなぎ倒し、2年連続で好成績を収めた「中年の星」が、御年56歳の近藤誠一氏だ。これまで数々のタイトルを手にした麻雀好きにはなじみの超一流プロで、今季のMリーグでも所属チーム「セガサミーフェニックス」の準優勝に大きく貢献した。
再選を果たした小池百合子東京都知事よろしく、昨今どんな業界でも「女性の存在感」は大きくなっている。部下のOLやパートの奥様方を敵に回すオヤジに、職場での明るい未来がないことは明らかだ。実は麻雀界も例にもれず、今季のMリーグでは男性顔負けの女流プロが多数躍動した。しかもセガサミーフェニックスは3人の女性Mリーガーが所属、男性プロは近藤氏のみでリーグで唯一女性の数が男性を上回るチームでもある。そんな中で、近藤氏はチームの大黒柱として絶大な信頼を勝ち得ている。
それが証拠に、7月6日に行われたチームのトークイベントでも近藤氏への厚い信頼がうかがえるトークが盛りだくさん。同僚の女流プロ・和久津晶は「男性として見たことはなかったけど、麻雀を打っている時の顔が格好良く見えてきてしまった」とまで絶賛したのだ。近藤氏本人は「ただのオッサンを混ぜてもらってありがたい」と謙遜するが、年下女性に嫌われない身の処し方があるに違いない。
近藤氏いわく、幼少期から身の回りに女性親族が多く、プロデビュー前の予備校講師時代に女性教室を受け持っていたこともあり、「自分ひとり対女性陣という状況には慣れています」とのこと。そして、ここでさらに「勝負師のまなざし」が光る。
「職場を円滑にする方法は、麻雀における押し引きバランスと同じですね。女性同士で盛り上がっている時は、そのまま放っておくのが一番いい。放置されたことが寂しいだなんて無理に割って入ると、ややこしいことになる。逆に、もしも意見を求められた時には、誠心誠意、精一杯答えるようにしています」
高打点を狙ってどこまでも攻め、手堅く守る場面では自己防御を徹底するのが近藤氏の“雀風”だが、職場でもそうしたメリハリのきいた「攻守のバランス」が大事なのだそうだ。
攻めるのか、守るのか。オヤジ世代が職場の人間関係で悩んだら、麻雀でバランス感覚を磨いてみるのもアリか!?
(福山純生)