テリー 特攻服着てたの?
鯉斗 着てましたね。チーム名(スペクター)と連合の名前(CRS連合)と、好きな言葉を入れてました。
テリー へぇ、例えば?
鯉斗 僕はですね、「十二代目総隊長」と「県警上等」、あとは大きな刺繍で「追うは県警 逃げるは我ら」「売った喧嘩は買う度胸 売られた喧嘩は勝つ根性」。襟首のところには「生まれてごめん」と。
テリー いいですねぇ(笑)。それ、今は?
鯉斗 実家にありますけど、母親がどこにしまったんだか。
テリー 今日、着て来てほしかったよ。
鯉斗 ハハハハハハ。
テリー だって宝物ですよね。ある意味、甲子園のユニホームと一緒でさ。
鯉斗 そうですね、青春時代の思い出です。
テリー 十二代目の総長ってことは伝統あるチームですよね。それは前の総長が辞める時に指名されるの?
鯉斗 そうなんです。僕らの中に、暴走族はだいたい18歳の終わり頃が辞め時だっていう暗黙のルールみたいなものがありまして。だから、16歳で免許を取って、2年ぐらいで辞めるのが普通なんです。
テリー あ、そうなんだ。じゃあ、前の総長も18で引退して。何が評価されて総長になったんですか。
鯉斗 暴走の出席率と、警察に追われている時に、警察を止めるしんがりの「ケツ持ち」というポジションがあるんですよ。そこをよくやっていたら「お前、気合い入ってんな」っていうことになって。
テリー そうか、いちばん逮捕されやすい場所だから。しかも、ケツをまくるってことは運転技術もなくちゃダメだよね。
鯉斗 そうなんですよ、下手だと捕まっちゃいますから。だから、僕らのたまり場の公園が砂利だったんで、よくドリフトの練習とかしてましたね。周りは、迷惑だったでしょうねぇ(苦笑)。
テリー 師匠のチームは何人ぐらいいたの。
鯉斗 60人ぐらいです。で、僕らの時代は20チームぐらいあったんですかね。それで尾頭橋(おとうばし)というところに20チームが集合して、みんなで走りに行くというシステムでした。
テリー 指名はどこでされたんですか。
鯉斗 「集会」という集まりがあるんですけど、そこで「お前、やるか」と先輩たちに言われて。ノーと言うわけにもいきませんし、「わかりました」と。
テリー それ、何歳の時?
鯉斗 16歳です。
テリー えっ、早いじゃん。
鯉斗 僕の時は1つ上の先輩たちに気合いが入ってる人がいなくてですね。だから、僕がなった時、他のチームの総長はみんな1つ上だったんで、1年は気を遣ってました。
テリー へぇ~。でもさ、師匠はものすごく男前じゃない。モテたでしょう。
鯉斗 いやいや。まぁ、けっこう女性から声はかけていただきましたけど。
テリー また、レディースはかわいい子が多いし。
鯉斗 ただ、顔はかわいいけど、中身が男なんですよ。ふだん、鉄バットを引きずって歩いてるような子たちなので。
テリー ええっ、すごいな。
鯉斗 だから、あんまり彼女にはしたくなくて。当時は普通の高校へ行ってる、ちょっと派手めな、ちゃんとした子とつきあってました。
(アサヒ芸能8月6日号「天才テリー伊藤対談」=2=)