蓋を開けてみれば圧勝に終わった五輪招致レース。都庁関係者が「4年前、ロビー活動に失敗し、屈辱的敗戦を経験したことが糧になった」と話すが、選挙権を持つIOC委員94人が持つ票の獲得が全てだという。有名アスリートも巻き込んだ舞台ウラを総まくり!
4年前の2016年五輪(リオデジャネイロ)開催の招致レースで苦い経験をしたマラソン五輪メダリストの有森裕子(47)。9月8日早朝の、IOC総会を生中継したNHKの速報番組にゲスト出演した席でも、東京開催が決定する直前に、「ロビー活動って言っても相手と挨拶を交わすことだけでも難しいんです」と、苦しい心中を吐露していた。日本テレビ関係者話す。
「翌日の『NEWS ZERO』に出演した時は、肩の荷が下りたんでしょう。最後のロビー活動の様子を語ってくれました。『福島原発の汚染水問題などで最後のプレゼンをするまで、大丈夫と思っている方々は少なかったと思う』とブエノスアイレスでの厳しい状況を振り返りながら、自身が、『空飛ぶ宇宙人』と呼ばれたセルゲイ・ブブカ氏の担当だったことも明かしていました」
“密命”は有森氏だけでなく、スピードスケート銅メダルの橋本聖子参議院議員はスケート競技出身の委員、バルセロナ五輪金メダリストの鈴木大地氏は競泳のカースティ・コベントリー氏ら元メダリスト、と細かく割り振りが決まっていたという。その徹底ぶりの裏には4年前の招致活動で屈辱的な敗北を喫した教訓があった。
「当時の招致委員会会長だった石原慎太郎前都知事は招致失敗直後に涙を流し、『総力戦でやらないとダメだと思った。IOC委員はみんな政治家でしたたか。当時のJOCの組織力では太刀打ちできなかった』と振り返っていた。何しろシカゴ開催を狙っていた米国でさえ過半数確実と読み、オバマ大統領も出席しながらの惨敗。それほど欧州中心のIOC委員の心中は読めないんです」(前出・都庁関係者)
全94票(会長を含まず)のうち、いわゆる王族票は30で、ヨーロッパは40票。しかも無記名投票のため波乱を演出するという。全国紙社会部記者が言う。
「IOC委員への手土産は200ドルまで。表向きクリーンな選挙に見えるが、国や地域への支援という名の“お土産”がエスカレートし、ロビー活動も年々難しくなるばかりです。現在は複数のコンサルタント会社が動き、ウイニングボーナスが支給されるシステムになっているほど。各国ともIOC委員1名ごとに政治、経済、文化という複数のカテゴリーからアプローチをかけ、投票の依頼を働きかけるそうです。有力委員になると、経済ラインからだけでも有名企業数社が別々にその委員の母国への工場誘致という“お土産”付きで接触するなんてこともあるので、最終的に10方向からアタックなんてことも起きていました」
◆アサヒ芸能9/17発売(9/26号)より