9月27日の神戸新聞杯と並ぶ菊花賞トライアル(3着までに優先出走権)、セントライト記念が9月21日に中山で行われる。
ヴェルトライゼンデ(3着)、ガロアクリーク(6着)といったダービーで上位争いを演じた馬が出走を予定しているほか、ラジオNIKKEI賞の勝ち馬バビット、さらに夏の上がり馬的存在が数頭いて、本番の菊花賞を見据え目の離せない一戦と言っていい。それだけに、馬券的にもおもしろそうだ。
ただ、データ的には大きく荒れることは少ない。馬単が導入されて以降、これまでの18年間、その馬単での万馬券は5回(馬連2回)あるが、1、2番人気馬でのワンツー決着は6回あり、比較的堅く収まる傾向にある。
さて今年はどうだろう。データどおりならダービー組など、既成勢力を上位とみるのが馬券的な筋だと思うが、穴党としては新興勢力に目をつけてみたい。
期待を寄せるのは次の2頭。ダノンファストとマイネルソラスだ。どちらの馬も魅力的で甲乙つけがたいが、後者のマイネルソラスを主力に据えたい。
前走、1勝クラスの利尻特別(札幌芝2000メートル)を勝ち上がったばかり。しかも「まだ完成途上で、ひ弱さも残る」(和田調教師)状態で、今回オープン馬相手にどうか。そうみられて当然だが、それでもこの馬の素質のよさに賭ける価値は十分あると判断しての狙いだ。
まず前走の勝ちっぷりが鮮やかで「強い」の一語。コンビを組んだ丹内騎手も「距離が伸びて楽しみな馬。能力は高い」と、レース後に話していたほどだった。
前走後は、ここを目標に短期放牧でリフレッシュ。帰厩後は、抜かりなく調整が続けられてきた。1週前の追い切りは、時計こそ目立たなかったが、大きなスライドで動きも滑らかだった。
丹内騎手が「追ってからの反応がよかった。いい感じにきている」と言えば、見守った和田師も満足げに「まだ完成されていないが力は確か。折り合いに不安はなく、距離が長くなっていい馬」と、ヤル気をにじませていた。ならば、3歳馬同士での競馬。期待していいのではないか。
父は菊花賞を制したゴールドシップで、同じ芦毛馬。柔らかく、バランスの取れた好馬体の持ち主でもあり、秘めた力は相当なものとみたい。
さらに血統(母系)もいい。ダイイチルビー(安田記念、スプリンターズS)が曾祖母で、ハギノトップレディ(桜花賞、エリザベス女王杯)が4代母。その弟にハギノカムイオー(宝塚記念)がいる、あの「華麗なる一族」の出自で、力を秘めているのは間違いないところ。ここは相手が一気に強くなるが、一発があっても不思議はない。
そしてもう1頭、ダノンファストも、もちろん狙ってみる価値はある。こちらは3勝全てがダートであげたもの。しかし脚抜きのいい軽いダートで勝ち星を重ねてきたことを思うと、芝でも走っていい。
実際、芝のレースでデビューさせた馬で、次の未勝利戦ともに差のない3着。ひ弱さが解消し、体力がついた今なら、むしろ芝のほうがいいはずだ。なぜなら、母ダンスファンタジアはフェアリーSを勝ったれっきとした芝馬。さらに、桜花賞とヴィクトリアMを制したダンスインザムードが祖母という血統だからだ。
この馬も使われつつグングンと成長している。中間の稽古の動きも上々で、さらに良化していることは明らか。こちらもチャンス十分とみたい。