早いもので夏のローカル競馬は今週でフィナーレ。新潟は新潟記念、小倉は小倉2歳Sがメインだ。
伝統ある新潟記念はハンデ戦。夏競馬の掉尾を飾るにふさわしく、毎年、熱のこもった見応えある激しい競馬が繰り返されている。
今年も多彩な顔ぶれ。それでいてハンデ戦とあっては、馬券的にもおもしろくなるだろう。
上がり馬のグリュイエール、ここが復帰戦になる好素材セダブリランテス、これまた将来が楽しみなブラストワンピース、そしてメートルダールに“マイネル軍団”のハニーとミラノ。このあたりが人気、有力候補だろうか。
しかし、本来なら大本命になるであろうセダブリランテスは骨折明け。ブラストワンピースも530キロを超す大型馬だけに、ダービー以来の実戦が気になるところだ。まずは簡単に決まるまい。
データをひもといてみよう。この重賞に馬単が導入されて以降、これまでの16年間、その馬単で万馬券になったのは半数の8回(馬連では6回)。この間、1番人気馬はわずか1勝(2着5回)、2番人気馬は3勝(2着1回)。これだけ見ても、波乱含みの一戦であることがわかる。
年齢では最も充実期にある5歳馬が圧倒的に連対しており、過去16年で7勝(2着8回)。続くのは上り坂の4歳馬だが、7歳馬(3勝、2着2回)の健闘も目立ち、ピークを過ぎたと軽く見るのは禁物だ。
難解で悩むところだが、穴党として期待を寄せてみたいのは、ナスノセイカンだ。
デビュー当時、将来を期待されていたが、なかなか芽が出ず。14戦目で500万下を勝ち上がったあと、いったん軌道に乗ったかに見えたが、オープン入り後は脚部不安があったりで、壁を突き破れないでいる。
ただ、ここ何戦かを見ると、ようやくスランプを脱したのでは、と思えてくる。前2走は函館でのもの。巴賞(7着)は道悪がこたえたようだし、函館記念(9着)はコースロスや不利を被ったりしていた。それでも着順ほど悪い内容ではなかった。勝ち馬との差がコンマ3秒とコンマ7秒であれば、挽回可能だ。
ということで、この中間の状態に注目していたが、思っていたとおり、稽古の動きなどはグーンとよくなってきている。馬体も張りがあって好気配。1週前の追い切りも実にリズミカルだった。ここ何走かでは最もいい仕上がり状態に達しているのではないか。
今回は実績ある左回りで、相性のいい新潟に舞台が替わる。昨年の新潟記念ではコンマ2秒差の3着だったが、前走の函館記念が55キロの斤量を背負って9着だったことを思うと、それ以下のハンデということもありえる。
「左回りはスムーズ。望みは持っていますよ」
控えめながらも矢野調教師は、こうヤル気のほどをチラつかせる。
桜花賞馬ナスノカオリが4代母という良血。良馬場なら“一発”があって不思議ない。
小倉2歳Sは、キャリア1、2戦の若駒に順序はつけづらいが、素質馬は多く、ここも難しい一戦だ。
それでも大きく狙ってみたいのは、ブルベアオーロだ。走破時計もレース内容も派手ではなかったが、それでも前走のデビュー戦は、センスのよさを感じさせるものだった。逃げ粘る2着馬を最速の上がりであっさりととらえたもので、2着と3着の差は7馬身もあった。
牡馬にしては小柄だが、均斉の取れた好馬体の持ち主。素質はかなりのものと言っていいだろう。混戦に断を下すのは、こいつだ。