9月22日に開幕した「第70期王将戦挑戦者決定リーグ戦」で注目の一戦が繰り広げられた。今や勢いが止まらない藤井聡太二冠(18)に対し、これまで4連敗していた「永世七冠」のレジェンド・羽生善治九段(49)が挑む形となった対局。
古くからの将棋ファンならば、新旧の天才同士の対決であり、将棋界の人気をけん引した両者の対決に、いつにない興奮を覚えても無理はない。そしてその結果も、戦前の予想を覆す羽生の勝利。まだ世代交代は許さないとばかりに、藤井の目の前に立ちはだかり、堂々の勝利を収めたのだった。
「新旧天才」の激闘の模様を屋敷伸之九段が解説する。
「トップ棋士同士の対局だけあって、終始難しい将棋でした。後手の羽生さんが『横歩取り』の戦型に誘導したことで、序盤から中盤にかけて激しい展開を見せていました。早い段階で飛車角交換を行った藤井さんが押しているムードで、昼休憩後の35手目には67分の長考の末に筋違いの角を打っていく攻撃的な手を指しましたが、終盤には羽生さんの詰め将棋のような筋に呑み込まれる形となってしまいました。藤井さんが本局で用いた作戦は『青野流』と呼ばれる横歩取り対策で、5八玉と上げて、右の桂馬を跳ねていく指し方で、現在最有力とみられています」
史上最年少でタイトルを獲得するや、続けざまに二冠を達成。「藤井フィーバー」の勢いそのままに三冠目も射程圏内に入ったが、そこに立ちはだかったのが「かつての天才少年」だった。9月29日発売の週刊アサヒ芸能10月8日号では新旧天才対決で藤井を追い詰めた「虹プロ戦法」や森内俊之九段が振り返る「永世七冠」の凄みについて詳報している。