落合氏の「応援」を受けた当該球団の選手たちの心境はというと、
「広島、中日ともに『みっともない。こんなに借金を抱えて、この成績でCSと言われたってねぇ』という現場の声がありました。ただ、『ルールだから出られるんだろうけど』とも」(スポーツ紙デスク)
では、このシステムを作った日本プロ野球組織(NPB)は、今回の事態をどう考えているのか。遊軍記者が代弁する。
「NPBのスタッフは『ゲーム差なんてどうってことはない』『そういうシステムなんだから』などと、意に介していません。ただ、その本音は『借金チームがCSに滑り込むのはしかたないが、さっさと負けてほしい。何とかならないものか』です。ちなみに、07年のロッテ日本一の際には『リーグ3位の球団が日本一になっていいのか』との苦情がNPBに殺到。ただ、その一方で、『ロッテはよくやった』『CSはおもしろい』との意見もありました」
そもそもプレーオフ、CSと続くシステムはいったい何の目的でスタートしたのか。その舞台裏を、スポーツライターの飯山満氏が解説する。
「04年にパ・リーグでプレーオフ制が導入された時、パの関係者は『サンプルにしたのはアイスホッケーの日本シリーズと韓国野球の国内シリーズだ』と言っていました。目的は消化試合をなくすこと。その意味では、いちおう成功していることになります。そしてもう一つが収益アップ、つまり金儲けのためです」
先のデスクは、具体的な「数字」に言及した。
「下位チームによる3位争いが熾烈化することで、終盤まで消化試合が減ったのは事実です。しかも盛り上がるうえに、全国放送されるので高い放映権がつく。主催球団にもよりますが、4000万円から5000万円。それに入場料をプラスすれば、経費を差し引いても1試合1億円前後は儲かる。言ってみれば、昔の巨人戦中継が復活した感じで、視聴率も取れますからね」
3位×2位では2位球団本拠地での主催試合、その勝者と優勝球団との対戦は優勝球団の主催試合となる。元来、CSはシーズンの延長であるとの位置づけから、儲かるのは主催球団のみ。3位球団は日本シリーズに出場しないかぎり潤うことはないわけだが、
「3位でも借金があるからダメだ、となれば、金儲けの場が奪われることになる。みんな儲けたいんです」(前出・デスク)
CSはあくまで各リーグの興行であり、リーグとして勝率5割以下の球団の出場を認めている以上、NPBとしては「いいじゃないか、それで」ということなのである。