消化試合がなくなってペナントレースは終盤まで活況を呈し、球団の収益にもつながる。CS開催のメリットは確かに大きいが、さまざまなトラブルが発生し、見直しが話題になった経緯もあるという。NPB関係者が明かす。
「04年、05年のプレーオフでダイエー(ソフトバンク)が連続して負けた際、当時の王監督は『何だ、このシステムは!』と言いました。CSで優勝球団の無条件アドバンテージはこの発言の影響があったと思います」
さるパ・リーグ球団の関係者もこう話す。
「09年、3位・ヤクルトが首位と22ゲーム差でCSに出ましたが、日本シリーズ後のプロ野球コンベンション時に催されたオーナー会議の席で、あるオーナーが『見直し』をほのめかす異論を唱えた。これと前後して、球団代表が出席する実務者レベルでのプロ野球実行委員会でも、勝率5割以下の球団の扱いについての意見は出たと思います」
だが、それも正式な議論ではなく、雑談程度だったため、状況に変化はなく、現在に至っている。そしてこの関係者は、こんな問題も提起するのだ。
「アドバンテージの付け方もどうなのかと思います。かつてパのプレーオフは5ゲーム差で1勝のアドバンテージでした。仮にその論理でいけば、例えば今年のセは巨人が3位に20ゲーム近くの差をつけている。5ゲーム差で1勝なら、20ゲーム差では計算上は4勝。巨人が試合をやる必要はなくなりますよね。それほどの差があるということです。それが現状のように20ゲーム差でも1勝、0.5ゲーム差でも1勝なら、それこそペナントレースの意義が問われます。何のために144試合も戦うのか」
前出・NPB関係者も次のように言って「弊害」を認めるのだ。
「10年のロッテ下剋上以降、監督やコーチの頭に『最低限、3位に入ればいい』との考えが出てきたのは事実です。優勝しても覆される可能性がありますから。それならばと、来るべき“本番”に向けて戦力を『温存』する傾向も出てきた。投手の調整も“本番”を見据えてのものになったり。CSは盛り上がっているように見えますが、現実問題として、全国的に“本当のファン層”は離れていっています。それは金儲け主義のなせるものであり、複数の球団の裏方さんが『この動きをすぐに止めないと、野球がどんどんつまらなくなる』と危機感を募らせています」