監督にノセられた選手たちも、グラウンドで大暴れし、持ち前の明るさとプラス思考を発揮しながらチームの雰囲気をガラリと変えた。特に菊池涼介(26)、丸佳浩(27)の“キクマルコンビ”は、プレーはもちろん、ベンチ裏でもチームに欠かせないムードメーカーとなっている。
「2人がギャグを飛ばし、お互いかわいがっている鈴木や他の後輩をイジる。それは今季、試合前のロッカールームやベンチ裏でお決まりの光景です。キクマルは大ベテランの新井貴浩(39)にも容赦しません。シーズン中盤にはこんなこともあった。試合開始前のベンチで菊池が『新井さん、いつもオイシイところで打ったあとの“ドヤ顔”がすごいですよね』と言うと、すかさず丸も『そうそう!』。これに新井が『やかましいわ!!』とキレるフリをしたのですが、すぐに『こんな顔か?』と言ってスイングしながら“ドヤ顔”をその場で実演して見せたんです。これにはベンチ内にいた誰もが大爆笑だった」(チーム関係者)
単に「笑い」だけではない。言うまでもなく、要所で締めるところは締める。その役割を主に果たすのが、もう一人のベテラン・黒田博樹(41)だ。今季限りの引退が濃厚視されているが、“遺言”としてか、後輩たちに的確なアドバイスを送っているのだ。チームスタッフの一人が明かす。
「伸び悩んでいた福井優也(28)に、『勝つことばかりにこだわるな。マウンドでは試合を作る意識を持て』との言葉を授けて意識を大きく変えさせました。福井が巨人戦で菅野との投げ合いで2連勝し、“Gキラー”となったのは黒田の助言のたまものですね」
ベンチに明るいムードがどんどん広がり、貯金30、2位・巨人に12.5ゲーム差(9月2日時点)と、まさにセ界を完全制圧しかかっている。
そんなカープの現況を羨望のまなざしで見つめているのが、高橋由伸監督(41)率いる巨人だろう。
7月7日の阪神戦を観戦に訪れた読売新聞グループ本社代表取締役主筆・渡辺恒雄氏(90)が、試合後に「由伸の責任じゃないからな。フロントだよ。補強してないんだから。こんな補強せずに、今の陣容で勝てったって無理だよ」と辛辣なコメントを発した。これは球団フロントにとって、かなり衝撃的だったようだ。
他球団のスコアラーが嘲笑しながら、指摘する。
「そりゃあ、そうですよ。外国人選手なんか、育成も含めて登録枠をはるかにオーバーする13人(1人退団となり、現在は12人)もかき集めましたが、一軍で働いている助っ人は限られています。故障や不振で二軍落ちせず、まともにフル稼働できているのはマシソン(32)だけですからね」