今週のメインは秋華賞。秋のGI戦第2弾である。3歳牝馬による芝2000メートルでの戦いで、桜花賞、オークスを制し、4戦土つかずで秋初戦を迎えるデアリングタクトの「3冠」なるかが焦点となる。
強烈な末脚が武器で距離の不安もないとなれば、ここでも頂点に立つのは容易と思われるが、夏を越して力をつけたライバルも多く、また、この馬自身、オークス以来5カ月ぶりの実戦。春同様のパフォーマンスを演じきることができるのか、とにかく注目の一戦と言える。
まずは、そのデアリングタクトだが、オークスのあとは放牧でしっかりとリフレッシュ。牧場での調整は抜かりなく、帰厩後も寸分の狂いもなく調教が積まれてきた。前哨戦をパスして本番へ直行となるが、1週前の追い切りも文句なしだった。
そうであれば、秋の女王の座もこの馬で決まり──そうみられて当然で、馬券的にはデアリングタクトを頭に2、3着のヒモ探しのGIということになろうか。
データもそれを示している。02年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間、その馬単での万馬券はわずか1回(馬連も1回)。この間、1番人気馬は5勝(2着3回)、2番人気馬は7勝(2着3回)で、1、2番人気馬でのワンツー決着は3回。いわゆる本命党向きの競馬と言ってよさそうだ。
しかし、どうだろう。そうであっても今回は前述したように、ここにきてのしてきた馬も少なくない。オークスの結果を見ても、デアリングタクトを脅かすライバルもいる。穴党としては当然、そちらに目を向けてみたい。
トライアルの紫苑Sを勝ったマルターズディオサ、ローズSの勝者リアアメリアは、デアリングタクトの最たる好敵手だが、むろんのこと、この両馬だけではない。オークスで2、3着したウインマリリン、ウインマイティーも差はなく、オーマイダーリン、クラヴァシュドール、パラスアテナ、ホウオウピースフル、マジックキャッスル。他にも伏兵視されている馬は何頭かいて、波乱の目はなくはない。
ということで、「デアリングタクト絶対」とはとても思えないのだ。
最も期待を寄せたいのは、ウインマイティーだ。
周知のように、春は忘れな草賞(残念桜花賞とも呼ばれる)を快勝。続くオークスで見せ場たっぷりに差のない3着に頑張った実績馬である。
秋初戦となった前走の紫苑Sは後手を踏んだのが痛く6着に終わったが、流れが不向きの中、勝ったマルターズディオサにコンマ3秒まで詰め寄ったのは、地力のなせるワザだった。
しかも、3カ月ぶりの実戦で、関東までの長距離輸送。休む前と比べて体重が4キロ減っていたうえに、パドックでは落ち着きを欠いていたことを思えば、使われての変わり身を期待しないわけにはいかない。
事実、この中間は落ち着き払って好気配。1週前の追い切りも実に滑らかだった。
「使われてかなり良化したと言える。京都は相性がいいし、楽しみ」
こう五十嵐調教師をはじめ、厩舎スタッフが口をそろえるほど。であれば大いに期待していい。
名牝ナタシュカ(アラバマSなどGI3勝)につながる血筋のよさも魅力。道悪の不安もなく、狙い撃ちといきたい。