真の女王を決める頂上決戦、エリザベス女王杯が今週のメインだ。とはいっても、史上初の芝GI8勝目を達成したアーモンドアイ、その女傑を安田記念で破ったグランアレグリア、秋華賞を制して「三冠」を成し遂げたデアリングタクト、さらには宝塚記念を圧勝したクロノジェネシスといった面々は、ホコ先が別で名を連ねていない。
それでも、昨年の覇者で連覇を狙うラッキーライラック、札幌記念を制して意気上がるノームコアを筆頭に、顔ぶれは相当なもの。現役牝馬の層の厚さには舌を巻くばかりである。それだけに、どんな熱戦が繰り広げられるのか、期待は膨らむばかりだ。
まずはデータをひもといてみよう。02年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間に限ってみると、生きのいい3歳馬が8勝(2着2回)、そして充実著しい4歳馬も同じく8勝(2着6回)。この両年代が圧倒しており、5歳馬になると2勝(2着5回)とグンと劣り、6歳以上馬は繁殖に上がって出走頭数が少なくなることもあって、勝った馬はおらず、6歳馬の2着が2回あるのみ。というわけで3、4歳勢を主力に据えるのが馬券の筋ということがわかる。
また、馬単での万馬券は5回(馬連2回)。1番人気馬は3勝(2着5回)、2番人気馬は4勝(2着4回)で、1、2番人気馬のワンツー決着は3回。大きな波乱は少ないものの、決して本命サイドの馬券にはならず、中穴傾向のGIと言ってよさそうだ。
さて、今回はどのような決着になるだろうか。前述したラッキーライラックとノームコアの両GI馬は、ともに2カ月半ぶりの実戦。しかも後者はマイラーとしての適性が高く、阪神コースは初経験となる。ならば他馬のつけいるスキは十分あるとみてよく、簡単なようで、かなり難解な一戦ではなかろうか。
穴党として最も期待したいのは、3歳馬のウインマイティーだ。地力では充実著しい4歳馬に見劣るとしても、古馬が56キロを背負うのに対し、3歳馬は2キロ軽い54キロで戦えるのは有利。この斤量差が、4歳勢と互角に渡り合える最大の理由だろう。それに、この馬の秘めた能力は、かなりのものと信じられる。だからこそ、狙ってみたいのだ。
今春、忘れな草賞を勝ち、いきなり一線級とぶつかったオークスでは見せ場たっぷりの3着。無敗の三冠を成し遂げたデアリングタクトとコンマ2秒差の勝負を演じた力量は、素直に認めるべきだろう。
とはいえ、ここでは人気が落ちることは間違いあるまい。この秋は紫苑Sが2番人気6着、秋華賞は3番人気9着。2戦とも評価どおりの走りを見せられなかったのだから、やむをえないだろう。
しかし、軽くみてはいけない。紫苑Sは休養明け初戦で状態がイマイチ。落ち着きを欠いていたこともあり、出遅れてしまったのがいけなかった。そして前走の秋華賞は、体重が前走比10キロ増と、明らかに重め残りだった。調整の失敗とも取れるだけに、あらためて注目すべきだ。
今回は休養明けを使われて3戦目。まともなら変わり身を見込んでいいはずである。実際、この中間は稽古の動きが素軽くなっており、落ち着きが出て、雰囲気が実によくなっている。1週前の追い切りも軽快かつリズミカル。馬体も締まって、今回は持てる力を出せる状態にあるとみていいだろう。
また血統もよく、母系は欧州の一流血脈。秋華賞の凡走で評価が下がるのは穴党にとってはうれしいかぎりだ。晴雨にかかわらず、大きく狙ってみたい。