東京・目黒区のタワーマンションで10月26日、女性宅に宅配便業者を装った強盗が押し入り、現金600万円を奪っていった事件。すでに犯人の少年3人は逮捕されたが、その事件を報じるニュース番組に違和感を覚えた人が少なからずいたようだ。
それは、10月27日放送の「news zero」(日本テレビ系)。同番組では被害者に直撃取材を行い、本人が顔出しで出演し、約4分半の映像では半分ほどが被害者自身による状況説明となっていた。ところが、この被害者である里美ゆりあはデビュー12年目の艶系女優で、2011~2013年には恵比寿マスカッツの一員としてバラエティ番組にレギュラー出演していたこともある有名人なのだ。その場面についてテレビ誌ライターが指摘する。
「番組では一貫して『タワーマンションに住む強盗の被害者(30代)』との肩書で紹介。途中で彼女が艶っぽさを売りにした“タレント”だったという内容の説明こそあったものの、ついぞ実名を出すことはなく、あくまで“一般人”扱いだったのです。しかし里美の名前はすでにスポーツ紙の記事で公表されており、Yahoo!ニュースにも掲載。被害者が里美であることをかなり多くの人が認識できる状態であるにもかかわらず、かたくなに名前を隠し続けたような形になっているわけです」
なぜ「news zero」では里美の名前を隠し続けたのか。もし売名行為的なことに加担したことになるのを避けたのであれば、そもそも本人ご登場で犯行の様子を根掘り葉掘り聞きだす映像自体が不適切にも思えてくる。
「彼女が一般の女優だったら何の問題もなく実名を出していたはず。結局、艶系女優だから名前を伏せたということなんじゃないでしょうか。しかしそういう番組方針なのであれば、本人に取材した映像を使うのは都合が良すぎるというもの。被害者本人が登場というオイシイ画だけを使い、名前のほうは謎の基準で伏せる。そうだとしたら、まさにダブルスタンダードであり、職業差別的な感覚もにじみ出ていると感じる視聴者も多かったのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
元や現役を問わず、艶系女優が地上波の番組に出演するケースは珍しくなくなっているが、こと報道番組関してはまだ“謎の壁”が存在しているようだ。
(金田麻有)