関西は引き続き中京開催だが、関東は今週から東京に舞台が移る。
その開幕週のメインは根岸ステークス。周知のようにGI第一弾、フェブラリーS(ダート1600メートル)の前哨戦で、本番よりも1ハロン短い1400メートルでの競馬。ポイントはこのへんにあるか。というのも、ここで勝ち負けして本番でも、という馬が少ないからだ。
距離が1ハロン違うだけでこうまで──と思ってしまうが、この前哨戦と本番を連覇した馬は、かなり能力が高いということになる。
今年も超一流と言える馬は見当たらないが、その反面、これからのしてきそうな上がり馬的存在も少なくない。それに、フルゲート(16頭)必至で顔ぶれも多彩。ということで、馬券的にはおもしろく、簡単に収まりそうにはない。
アルクトス、サクセスエナジー、サンライズノヴァ、タイムフライヤー、デュードヴァン、ヘリオス、そしてレッドルゼルが人気を背負うと思われるが、伏兵陣も多く、しぼりづらい。
まずは過去のデータを見てみよう。03年に馬単が導入されてからこれまでの18年間、その馬単での万馬券は5回(馬連は2回)。この間、1番人気馬は5勝(2着5回)、2番人気馬は2勝(2着1回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は1回のみ。中穴傾向の重賞で、一筋縄では収まりそうにないことは確かだ。
年齢的には充実著しい5歳馬、実績を重ねてきた6歳馬がよく連対を果たしているが、穴党として期待したいのは、4歳馬のメイショウテンスイである。
同馬はここを目標としているフシがある。一度しか経験はないが、マイル戦では最後の直線はパッタリで、良績は7ハロン戦〈3 3 1 2〉に集中している。いわばこの馬にとっての「本番」は、ここだと思えるからだ。
相手なりに走る勝負根性が持ち味で、堅実な走りが武器。その馬が前走のギャラクシーSでは15着。1400メートル戦で初めて掲示板を外したわけだが、大敗を喫したことで、力量的にここでは見劣るとみられるのは間違いないだろう。
だが、前走の敗因は、暮れの寒さのせいか調整が上手にいかず、追い切りの動きもイマイチ。そうした影響から前走比プラス16キロと重め残りの仕上がりになってしまった。それが敗因と言ってよく、レースで引っ掛かって折り合いを欠いたのも、やむをえなかった。
しかしこの中間は順調そのもの。しっかり乗り込んできており、1週前の追い切りはリズミカルだった。
「馬体が締まって雰囲気はいい。稽古の動きも満足いくもので、前走とは違う」
こう厩舎スタッフは口をそろえ、状態のよさを強調するほど。
東京コースは〈3 1 0 1〉と最も得意とするところで、巻き返しを期待していいのではないか。
血統的にも一族にカラヴァッジオ(英GIコモンウェルスC、愛GIフェニックスS)など活躍馬が少なくなく、GIでやれていい馬。大きく狙ってみたい。
中京で行われるシルクロードSは、各馬の力の差が大きくなく、それでいてハンデ戦。難解このうえないが、狙ってみたいのはザイツィンガーだ。
ひ弱さが影を潜め、ここにきてすっかりたくましくなったのがいい。前走の淀短距離S(8着)でも調整がうまくいかず、重め残り(前走比プラス16キロ)の状態でいながら見せ場を作ったほど。
今回はしっかりと乗り込んで、1週前の追い切りの動きも軽快。仕上がりは前走の比ではない。母譲りで短いところを得意としており、ハンデは恐らく54~55キロ。一発があっていい。