日本ハム(6位)がハズれ、DeNA(5位)がハズれ、ソフトバンク(4位)がハズれ、中日(4位)がハズれ、楽天(優勝)が大当たり。これが、今年のドラフト会議で最も注目を集めた、松井裕樹(桐光学園)の結果だ。
「今年の楽天はイケイケだな」そんな声がそこら中から聞こえてきた。実際そうなのかもしれない。でも、本当にそれでいいのか?
ドラフト会議は毎年、プロ野球ファンが楽しみにしている恒例行事。戦略やクジ引きで注目選手の運命が決まるのはやはりエンターテインメントとしては成立している。しかし結局、プロ野球ファンが見たいのは贔屓球団の勝利であり、優勝であり、日本一。これが公平な立場で争われないのはあきらかにオカシイのである。
まもなく開幕する今年の日本シリーズ。セ・リーグの覇者、読売巨人は菅野、長野、阿部、内海、澤村、高橋由‥‥過去には逆指名などの制度があったにせよ、主力のほとんどが「巨人にしか入らない」と公言してきた選手だ。対する楽天は、エースの田中将大が開幕24連勝という金字塔を打ち立ててのシリーズ進出。
「田中は06年のドラフト会議で日本ハム、オリックス、横浜、楽天から1位指名され、その年47勝85敗で堂々たる(!?)最下位だった楽天に引き当てられた。偶然にもウェーバー制が導入されていたら? を地で行ったわけです。当時は『楽天かよ~。ハンカチ王子に比べて“持ってないな”』との声がもっぱらでしたね」(スポーツ紙記者)
ところがどうだ。この2013年、投手としてすべてを“持っている”彼の右腕が、あの弱小球団をパ・リーグの覇者に押し上げたのだ。これこそ、ウェーバー制を一日も早く導入してもらいたいと願う、弱小球団のファンたちの理想型ではないだろうか。
「もはや、ドラフト会議は読売巨人を除いた、11球団の当たりクジ争いと化している。今年の巨人は1位指名の石川歩(東京ガス)をハズしたが、結局は『巨人にしか入らない』と報道があった、社会人ナンバーワン捕手を何の苦もなく手に入れている。セ・リーグのDeNAやヤクルト、はたまた広島、何年もチャンピオンフラッグから遠ざかっている球団のファン、むろん阪神も中日も、こんな釈然としない光景を毎年見せられているわけです」(スポーツ紙記者)
もちろん、獲得した選手が絶対に活躍するとは限らない。もちろん松井裕樹がどうなるかもわからない。でもせめて、シーズンオフぐらいは、弱小球団のファンにいい夢を見せてほしいのである。