直江 しかし、優の役作りは大変でしたよ。クライマックスの「放送室立てこもり」の時は、ヒロと2人で先生‥‥武田さんに呼ばれて、「お前ら、大変だぞ。本腰入れてやれよ」って活を入れられた。
──有名な警察に連行されるシーンですよね。ところで、あの「世情」をフルコーラスで流すというアイデアは?
直江 あれはディレクターの生野(慈朗)さんのアイデアです。プロデューサーの柳井さんが出来上がった時にびっくりしたそうですよ。「世情」をフルコーラスで使って、スローモーションになるとは‥‥。柳井さんは「やったな、こいつ」と。いや、これはホメているんですけどね。オレ、あれ見て泣いちゃったもん。しかもかっこいい。あん時ほど、自分をかっこいいと思ったことはなかったもん(笑)。いい顔してるだろうって。飲むと言っちゃうからね。
川上 それと、最終回の謝恩会、あのシーンですよね。みんなドラマの役柄も忘れちゃって泣いちゃうみたいな。というのも、台本にない、生のセリフが入ってくるので。
直江 何人かは終わっちゃうっていう、演技じゃない生の気持ちでわんわん泣いていましたけど。それに対してはディレクターさんに活を入れられてた。「お前ら遊んでんじゃねえ、仕事なんだから。演技しろ!」って。ラストの謝恩会のシーンですが、台本では最後に先生が「また、今度もキミたちのことが大好きになりました。ありがとう」だけのハズだったのに、その前にアレンジを入れてくる。「キミたちは決していい生徒ではなかった。むしろ、悪い生徒だった」というところから始まって、「しかし、悪い生徒の中にこそ、美しい魂が宿っていることを」ってね。
川上 (シリーズ)ファイナルもそうですけど。ラストはリハーサルなしなんですよ。だから、本番で初めて聞くセリフが来て、みんな感情がわーっと‥‥。
直江 それも先生のテクニック。すばらしいですよ。
川上 ホント、武田さんの独特の雰囲気はすごい。教員免許も持ってらっしゃるから説得力があるし、セリフも自分流にアレンジされている。授業なんてもう、武田さんの世界。
直江 独演会だね。
川上 (シリーズ)ファイナルの時も、100人以上もの生徒が集まったんですけど、先生が泣くと生徒も泣くみたいな。ちゃんと、そのリズムは残っていて。洗脳されているんじゃないかというくらい(笑)。武田さんがウルッと声を詰まらせると、生徒も泣く。私だけじゃなくて、他の役者さんも。
直江 オレなんか加藤役での卒業間近の時、よくまどかに言われたもん。「先生みたいだよ」って。多感な時期でもあったし、もう影響されちゃっているんだよね(笑)。