熱血教師モノから社会派、そしてジェットコースタードラマまで。ネタバレ御免の高視聴率最終話を誌上再現する!
【1】「熱中時代」(日本テレビ系、78年10月6日~81年3月30日。最終回視聴率40.0%)
主人公は熱血新米教師・北野広大。北海道小樽出身という設定のため、北海道なまりで、「先生はなあ~」と生徒にしゃべりかけるのが特徴だ。この主演の水谷豊の独特のセリフは当時、多くの子供にマネされたものである。
最終話では、生徒ひとりひとりに通信簿を渡しながら言葉をかける姿が強く印象を残した。また、黒板に大きな字で「さよなら」と書き記し、涙を浮かべながら「さあ、大きな声で読んで見ろ!」と子供たちに復唱させるシーンも名場面だ。
【2】「白い巨塔」(フジテレビ系、78年6月3日~79年1月6日、最終回視聴率31.4%)
主人公・財前五郎役の田宮二郎が、最終話の収録直後に猟銃自殺を図ったことが、世間の耳目を集め、皮肉にも低迷気味だった視聴率をラストで飛躍的に跳ね上げる格好となった。
しかし、作品そのものはまさにはまり役と言える田宮、そしてライバルであり、唯一の友・里見脩二演じる山本學、さらに愛人役ケイ子・大地喜和子の名演技も相まってドラマ史上の傑作と位置づけられている。
最終話の特筆すべき点は財前の死に至る過程と、死後の映像。原作からより踏み込んだ形で財前の内面に迫っており、里見への「キミのような友達を持って誇りに思っている。ありがとう」や、絶息の直前、虚空に手を伸ばして、「か、かあさん!」と叫ぶセリフは原作にない。また、「剖検」のためにストレッチャーで運ばれるシーンは田宮自身が演じている。
【3】「西部警察PARTIII」(テレビ朝日系、83年4月3日~84年10月22日。最終回視聴率25.2%)
「さよなら西部警察 大門死す! 男達よ永遠〈とわ〉に」と、いささか大仰なタイトルの最終回は、3時間スペシャル。渡哲也演じる実質的な主人公・大門圭介がテロリストと闘い殉職するのだが、もちろん西部警察の“代名詞”爆破シーンもこれでもかというほどちりばめられている。最大の見せ場は、大門の遺体と対面する木暮課長こと石原裕次郎の演技。
「眠っているんだろう? 違うか?」「頼む、ひと言でいい、何とか言ってくれ」
──むせび泣く姿に、全国の「男」は感動した。また、腕で払うように涙を拭く場面などは裕次郎の真骨頂だ。
【4】「もう誰も愛さない」(フジテレビ系、91年4月11日~91年6月27日。最終回視聴率23.8%)
「ジェットコースタードラマ」という言葉は、このドラマから生まれた。ストーリーは基本的に復讐劇なのだが、複雑に入り組んだ人間関係、誰が敵で誰が味方かわからない展開が毎回続き、視聴者に一瞬たりとも気が抜けない緊張感を与え続けた。
また、主要登場人物が次々と非業の死を遂げるのもこのドラマのキモだ。吉田栄作演じる主人公・沢村卓也(樫村満)も例外ではなく、銃撃戦の末、腹部を撃たれる。みずからの子・優を宿し、出産間近の田代美幸(山口智子)をタクシーに押し込んだあと、血にまみれた千円札を握りしめながら、「どこへ行こうかな、これから‥‥」「優!」と叫んで絶命した。2人の子供は無事出産されたが、美幸の生死は不明。
【5】「高校教師」(93年1月8日~3月19日。最終回視聴率33.0%)
性的なものを含め、あらゆる種類のタブーをちりばめた野島ワールド全開のドラマ。主人公・羽村隆夫を演じる真田広之の好演も光ったが、やはり男性にとっては桜井幸子演じるヒロイン・二宮繭の印象が強いだろう。
全編を通してかげりを見せる本作で、一番の話題となったのはラストシーン。羽村と繭が電車の中で小指を赤い糸でつなぎ、眠るように寄り添う。やがて、繭の右手は力なく肘掛けから落ちる‥‥。死んでいるのか、眠っているのか、「永遠の眠りの中で」という意味深なタイトルも相まって視聴者の論議を呼んだ。また、およそ15分間のラストは2人に一切の会話がなく、セリフは過去の名場面と真田のモノローグのみである。