「そうか、あいつら、けっこう喜んでたか?」
1月25日より、「第3回たけしが認めた若手芸人リモート版ビートたけし杯『お笑い日本一』」の配信がYouTubeチャンネルであり(現在も絶賛配信中)、予選を勝ち抜いた8組の芸人がしのぎを削った結果、漫才コンビ「オキシジェン」が見事にグランプリを獲得いたしました。
今大会はコロナ禍を考慮して、初のリモート版での開催となったため、諸々不安視する声もありましたが、終わって見れば実に画期的な大会となったのです。
で、優勝したオキシジェンがツイッターで喜びの声をツイートしたところ、多くの「いいね」が集まり、そのことを後日、殿に伝えると、殿は優しい顔つきになって冒頭の言葉を漏らしたのです。そして、
「じゃ~、あいつら、これで少しは仕事が来るか」
と続けたのです。
で、今大会の何が画期的だったのか? 説明します。
去年までのたけし杯は、殿がかつて修業をした元・フランス座、現・浅草東洋館にお客を入れてのライブ形式の大会であり、出場芸人が次から次へと登場してきては、一気に最後まで行くやり方で、殿は最後に総評を述べていました。が、今年はVTR審査だったため、各芸人のネタVTRが終わると、その都度、殿がたっぷりと時間をかけ、ネタの構成、コンビのバランス、立ち位置や目線の使い方などなど、1組1組に真剣に細かくアドバイスをする“テレビじゃちょっと見られないビートたけし”を見ることができた、大変貴重で画期的な大会となったのです。そんな大会のハイライト、毎年恒例となっている、殿からグランプリ芸人に贈られる表彰状をノーカットで記して、今週はお開きとさせていただきます。
表彰状
あなたたち「オキシジェン」は、無観客でのVTR審査という、お笑いコンテストにあるまじき形式の「第3回たけしが認めた若手芸人リモート版ビートたけし杯『お笑い日本一』」において、わたくし、ビートたけしの独断と偏見により、“とりあえずは一番感触が良かったため”一応優勝とし、ここに表彰状を贈ります。ただ、優勝したからといって、明るい未来が待っているとは限りません。現在猛威をふるっている新型コロナウイルスのため、テレビ番組でのお笑いタレント雇用の減少、パチンコ屋やデパートの屋上でのイベントの減少、さらに、芸人の最大の収入源と言われている、闇営業の減少などなど、大変厳しい状況です。そんな、かつて誰も経験したことのない異常事態の中、芸人を続けていくのは厳しい限りです。ですから、より一層覚悟を決めて、この優勝を糧に、芸人を続けて行ってください。とにかく、なりたかった芸人になれたのですから、何があっても辞めることなく、這いつくばってでも、芸人として頑張ってください。本日は優勝、おめでとうございます。
令和3年1月25日
江戸まち たいとう芸楽祭 名誉顧問 ビートたけし
ビートたけしが責任編集長を務める有料ネットマガジン「お笑いKGB」好評配信中!
◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!