元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
大阪府でコロナ感染が拡大する最中、大阪府職員が大勢での送別会を決行。しかも3名が実際に感染したというお粗末なニュースです。これに対して国民はアキレ果てているのか、飽きたというべきか。以前ほど会食に関して「けしからん!」の声が上がってきません。国民はいろんな意味で、コロナへの関心が薄れ始めていると感じます。
現在は国会会期中。さまざまな政策が成立し、審議入りもしていますが、細かな部分は大々的に報道されないものです。中でも菅総理が「こども庁」の創設に向けて、自民党内で総裁直属の機関を設けて検討するように指示した、という報道には感心しました。なかなかのネーミングです。調べたところ、「こども庁」は「タローとハナコ」が中心となって働きかけ、二階幹事長直轄でワーキンググループができたという珍しいケースなんだとか。タローは山田太郎議員、ハナコは自見英子議員ですが、タロー議員のインタビューによると、加藤官房長官から「いいね」の連絡をもらったということでした。
が、自民党の現職議員いわく、党本部に提言を持っていったところ、二階幹事長が「それ、やろう!」となったという話。従来であれば、最初は「政調」内の勉強会から始めるべき案件なのに、二階幹事長が長年培ってきた嗅覚から、一気に幹事長肝いり案件へ。
とはいえ、何も目新しい中身はないとの否定的な意見も。子どもの事案を一元化しろ、という政策は昔から論じられていることで、かつての民主党も「子ども家庭省」創設を政権公約に掲げ、法案まで作ったこともあります。まぁ、アベノミクスの成長戦略みたいなものですね。看板だけ書き換えて、中身は一緒。もっといえば、「こども庁」とネーミングを短縮し、国民に好感度をアピールしているようにも見えます。ここの長になったら「子ども大臣」になるんでしょ‥‥。
一方、もうすぐ「子ども・子育て支援法」が審議入りする予定です。が、これもまたチグハグ。女性が活躍する時代においては、少子化や子育てに関することと、女性活躍や男女共同参画に関することは一線上の問題です。それなのに、担当大臣がそれぞれ別に存在するという複雑さ。こちらの一元化も難しいのでは。
先日、自民党は男性議員3人が、妊娠7カ月相当の重さ7.3キロのジャケットを着用して、国会までの通勤電車や街頭演説のほか、掃除や買い物などの家事に挑戦すると発表しました。妊婦の大変さを理解するのが狙いだそうですが、そもそも週末しか地元に帰れない議員たちは、子育てにはほとんど参加できません。妊婦の気持ち=ジャケットの重さで、子育て参画への意欲が湧くものでしょうか。議員たちは「子ども・子育て支援法」ではなく「子ども・子育てしないほう」をなんとかしたほうがいい、というネットの意見もありましたが、千里の道も一歩から。僕はこの一歩を応援したいと思います。
子育て改革や出生率アップはとても深刻な問題ですが、結局のところ、コロナが付きまといます。コロナのニュースに飽きつつあるとはいえ、まずは本当の意味でコロナが終息しないと、この時代に子どもを産みたいカップルが増えないのではないでしょうか。子ども大臣、なんとかして!
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。