元衆院議員の宮崎謙介氏が足掛け5年の議員生活の経験をもとに、政治家ウオッチングやオフレコ話、政治にまつわる話を適度な塩梅で、わかりやすく「濃口政治評論家」として直言!
菅総理とバイデン大統領が会談。首脳間の信頼関係を構築するため日本側は会食を提案したものの、米側が慎重で、ハンバーガー付きのミニマム会談に。ところが目の前のハンバーガーにはお互い、全く手をつけず。食べないならむしろ何も出さない方が、まとまった感が打ち出せたのでは。
そしてここにきて、またもやの緊急事態宣言。「まん防」の効果は薄く、大阪をはじめ、じわじわと感染拡大。小池都知事も乗り出し、百貨店まで巻き込んでの大騒動です。追加の協力金、どうするの!? 国の予算がだんだん心配になってきますが、知事と政府の攻防戦は、いずれにしてもいたちごっこ状態です。
小池都知事とは僕の議員時代に交流がありました。印象は良く、何よりアイデアを持っていてウィットに富んでいます。およそ10年前だったでしょうか。彼女はトルコにおけるシリア難民のための「さくら小学校」を設立したことがありました。国際協力の一環だったのですが、発案は彼女、リーダーシップも彼女がとってのプロジェクトです。僕はそこに協力しました。
意図としては「土地の無償提供など以外は、日本資金で設立したい。他国と協力するのもいいけど、結局学校に飾られる国旗(協力国の)の数は平等になってしまう」。小池さんは世界に、日本って素晴らしい、と思ってもらいたいということでクラウドファンディングを立ち上げ、僕はその勉強会に出席。彼女から「アナタも協力するわよね」と声をかけられ、まるで蛇に睨まれたカエルのようになったことを覚えています。彼女に声をかけられると、なぜかノーと言えない空気が醸し出されます。
さっそく僕は地元で「小池議員が乾杯に顔を出すので、よかったら一口協力してもらえませんか」と有権者たちに声をかけてお礼の懇親会を開き、30分だけ京都まで足を運んでいただきました。たった30分のために、京都まで往復です。彼女のバイタリティーがあれば総理にもなれる、そう感じた出来事です。
そして今、彼女はまだトップの座を狙っているのでしょうか。「希望の党」を結成した流れでは総理への道が見えたのに、千載一遇のチャンスを逃しましたかね。菅総理が小池都知事を疎む雰囲気がメディアではあからさまですし、かつての小池さんは菅さんのことを「カンさん」と呼んで小馬鹿にしていた時代もあり‥‥。2カ月後に控えた都議会選挙、都民ファーストの面々は「どんな要望でも言ってください。小池もどんどん使ってください」と触れ回っているようですから、危うい。ふわっと湧いて結成されたファースト、都政では力を持っているようですが、結構、素人で結成されていますから。こないだ僕の自宅近所で、ファーストの人が旗を掲げて無言で立っていたのですが、今こそ彼女のアイデアが必要。都政を固めるためにウィットを飛ばさないと。
「小池議員が教える風呂敷の包み方」の勉強会にも行きました。彼女は風呂敷のプロで、「あなたも包むの、手伝いなさい」と僕を登壇させてサポートにつけました。バイデン大統領との会談で出されたハンバーガー、菅総理がおもむろに和柄の風呂敷を取り出して「テイクアウトします」と言ったら、海外に日本の良さをアピールできたかも。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ):1981年生まれ、東京出身。早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に衆議院議員に。16年に辞職し、経営コンサルタントや「サンデー・ジャポン」(TBS系)などに出演。「バラいろダンディ」(TOKYO MX)ではレギュラーMCを務める。