肥満による高血圧のリスクは高いことが知られているが、痩せていても注意すべきことをご存知だろうか。「本態性高血圧症」と呼ばれるケースでは、体型に関係ない高血圧はほぼ、この症状が考えられる。
日本人の高血圧の85%から90%がこれに該当すると言われているが、一般的に高血圧は収縮期の血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上で、どちらか一方でもこの値を超えていると診断される。
要因には食生活やストレス、遺伝などがあるが、ほとんど自覚症状がないことから、脳卒中や心筋梗塞、動脈瘤破裂などの急性発症をもたらす「サイレントキラー」としても恐れられている。
見た目は痩せていても、皮下脂肪や内臓脂肪が多い「隠れ肥満」で高血圧を発症する可能性がある。体の脂肪が多いと、脂肪細胞から中性脂肪の遊離脂肪酸が血中に増加して動脈硬化が促進されるからだ。
他にもストレスや血圧を測る時に、緊張で血圧が上がる「白衣高血圧」もある。注意してほしいのが「原発性アルドステロン症」だ。これは副腎に生じた腫瘍などの病変が原因となり、アルドステロン(ホルモン)が自律的に過剰分泌されて発症する。脳卒中や心臓病、腎臓病など、合併症を引き起こすリスクも高い。これは二次性高血圧(遺伝や体質、生活習慣病以外)の代表的な原因疾患となっている。
基本的に、高血圧は生活習慣の改善を心掛けることが大切だが、それだけでは改善しない場合もある。例えば塩分。一般的には、塩分過多が原因で血圧が高くなると言われているが、たくさん摂取していなくても発症する人がいる。それが「食塩感受性高血圧」だ。このタイプの人は塩分の排泄がうまくできないため血液中のナトリウム濃度が上がって血圧が上昇すると言われる。痩せているのに高血圧という人は一度病院で検査をしたほうがいいだろう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。