テリー 今、藤波さんの団体「ドラディション」では息子さんのLEONA選手もプロレスラーとして活躍してますよね。
藤波 僕は大反対したんですけどね。絶対プロではやらせたくないっていうのがあって。
テリー あ、そうなんだ。子供の頃から大スターのお父さんを見てたら、やりたくなる気持ちもわかりますけどね。何で最後は折れたんですか。
藤波 ちょうど僕の40周年記念の時に後楽園ホールで大会をやったんですね。それで最後の試合が終わり、選手全員がファンサービスでリング上に整列してね。猪木さんにもダーッ! をやってもらって、お開きにしようと思ったら、リングサイドでマイクを持ってしゃべってる子がいたんですよ。それがうちの息子なんです。何か熱弁ふるってるから聞いたら、よく聞き取れるんですよ。僕と違って滑舌がいいから(笑)。
テリー アハハハ!
藤波 で、聞いたら「僕はプロレスラーになりたいんです。リングに上げてください」とか言ってるんです。僕はもう頭が真っ白になって、何が起きたかわからなかったんですけど、お客さんからは大拍手が起きて、もうこれは許さざるを得ないだろうって。それで結果的にデビューさせることになったんですね。
テリー 息子さんの試合ぶりはいかがですか。
藤波 怖いですね。いつも舞台袖とか、いろんなところから見てるんですけど、自分の試合よりもよっぽど心配です。
テリー そりゃそうだよね。大先輩としてアドバイスすることもあるんですか。
藤波 そうですね。身長が173センチで、今、体重は90キロかな。リングに上がるにしては体が小さいので、「レスラーとしての体を作れ」ということは常に言ってますね。とにかく飯を食わせて、練習をさせてね。
テリー わぁ、大変そうだ。
藤波 僕らの時代は「レスラーだったら、普通の人とは違う、金が取れる体を作れ」ってよく言われたんですよ。例えば、大先輩の山本小鉄さんも身長は170ぐらいしかなかったけど、胸板なんか普通の人より3回りぐらい厚かった。身長はどうにもならない部分もありますけど、レスラーならそのぐらいの体は作らないとダメだと思いますね。
テリー これからが楽しみですよね。ところで今、猪木さんはお元気なんですか。
藤波 時々連絡してますけど、元気ですよ。「今年50周年なんで、リングに上がってもらえませんかね」って頼んだら、「俺リングには上がれねえよ」って嬉しそうでした。
テリー そうか、それは嬉しいなぁ。藤波さんにも猪木さんにもまだまだ元気でいてもらわないと。僕もプロレスにはすごく元気をもらってきた人間のひとりですから。
藤波 今、実は長州や天龍(源一郎)と一緒に「日本プロレス殿堂会」というのを立ち上げようとしてるんですよ。別に僕らが殿堂入りしたわけじゃないんですけど、今年は力道山先生がプロレスに転身して70周年の節目の年でもありますし、まずは力道山先生や猪木さんや馬場さんに殿堂入りしていただいて、少しずつ選手を増やしていければいいなぁと。
テリー いいですね。野球で言えば「名球会」みたいなものだ。
藤波 そうです、そうです。そうやってプロレスやプロレスラーの存在感を高めていきたい。今年の秋ぐらいから本格的に動こうと思ってます。
◆テリーからひと言
まだまだ現役で頑張ってる藤波さんと話すと、こっちまで元気が出てくるな。息子さんとのシングルマッチ、いつか実現させてください!