夏競馬は佳境。その夏のローカル戦で最大のイベントと言っていい伝統あるGII戦、札幌記念が今週のメインだ。秋競馬を見据えて、ひと息入れていた大物がここをスタート台とすることも多く、毎年顔ぶれはいい。なので夏の祭典としてGIに昇格してはどうか、との声も小さくない。
今年もメンバーはそろった。無傷の5連勝で桜花賞を制した白毛のアイドルホース・ソダシをはじめ、ブラストワンピース(有馬記念)、ペルシアンナイト(マイルCS)、ラヴズオンリーユー(オークス)とGI馬が4頭。
加えて、目黒記念を勝ったあと、ここに照準を合わせていたウインキートス、七夕賞勝ちのトーラスジェミニ、GI戦線で常に善戦するユーキャンスマイル、近5走が全てGII戦で掲示板を外していないステイフーリッシュなど、役者ぞろいで見応え満点。ファン必見の重賞である。
馬券的にもおもしろいが、まずは過去の傾向をみてみよう。02年に馬単が導入されて以降、これまでの19年間、その馬単での万馬券は5回(馬連も5回)。この間、1番人気馬は4勝(2着7回)、2番人気馬は6勝(2着1回)で、1、2番人気馬によるワンツー決着は4回。平均すると順当に収まっているようにみえるが、4年前に馬単で6万9510円(3連単は20万1410円)馬券が飛び出すなど、荒れる時は大きく荒れている。
年齢的には他の重賞同様、4、5歳馬がよく連対しているが、斤量が軽い分、3歳馬の善戦が目立つ。それと牝馬だ。出走頭数は少ないが、過去19年で7勝(2着2回)しており、今回人気になるであろうソダシを断じて軽くみてはいけない。
とはいえ、穴党としてソダシを本命にはしづらい。たしかにオークス(8着)のあとは放牧でリフレッシュ。英気を養ってから、ここを目標にしっかり乗り込まれ、抜かりなく仕上げられているようにみえる。
ただ、成長期にさしかかっている今、予想以上に体重が増えているなど、陣営の思惑どおりに調整できているかどうかは微妙なところ。ひょっとすると重め残りの状態で出走するかもしれず、実績があるからといって簡単に飛びついていいかどうか。3カ月ぶりの実戦だけに、そのあたりもしっかりと確かめることが、まずは肝心だ。
というわけで、穴党として期待したいのは、バイオスパークである。
5走前に福島記念を制しているものの、この時はハンデ戦(55キロ)であり、今回のメンバーに入ると格下馬とみられてもやむをえないところ。しかし、これまでオープン馬の強敵相手にもまれてきたのがよく、ジワジワと力をつけてきている。実績が伴わないからといって軽視は禁物なのだ。
前走の函館記念(3着)は、ひと息入ったあとの一戦。にもかかわらず外枠から果敢に先行策を取り、好位の3、4番手から見せ場を作ったほど。使われつつ地力強化されてきたことは確かだろう。
この中間も、いたって順調。しっかりと乗り込んできており、1週前の追い切りの動きも軽やかでリズミカル。実にいい雰囲気に仕上がっており、力を出せる状態でレースに臨めるとみていい。
「もまれつつ力をつけていることは間違いない。どんな競馬を見せてくれるか、楽しみ」
こう言って浜田調教師をはじめ、厩舎スタッフが力を込めるほどだ。
相手なりに走る勝負強さが身上の馬。前走の内容、上昇ぶりから、この相手でも互角に渡り合っていいはずだ。