織姫と彦星。梅雨時にあっては、この1年に1回の逢瀬を垣間見ることもできない。星空を仰ぎ見るわけには、なかなかいかないからだ。とにもかくにも、小回り福島で行われるハンデ戦の七夕賞。難解このうえないGIII戦で、波乱含みであることは、過去のデータが示している。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの19年間、馬単による万馬券は7回(馬連は6回)。この間、1番人気馬は4勝(2着3回)、2番人気馬はわずか1勝(2着3回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は皆無なのだから、推して知るべしだろう。
過去19年を振り返ると、古馬の善戦ぶりが目立っている。
本来はこの時期、充実期を迎える4歳馬が活躍して当然だと思うが、意外や最も連に絡んでいるのは6歳馬で、8勝(2着7回)と群を抜いている。次いで5歳馬の7勝(2着6回)なのだが、それに比べて4歳馬は、わずか2勝(2着3回)。このあたりは頭に入れておいていいだろう。
ハンデでみると、56~57キロの重ハンデを課せられている実績馬が頑張っている。過去19年で57キロの馬が8勝(2着3回)、続いて56キロの3勝(2着3回)、55キロの2勝(2着7回)というもの。軽ハンデ馬に目を向けすぎるべきではない。
そうしたことを踏まえたうえで期待を寄せるのが、クラージュゲリエだ。
前走の鳴尾記念は7着に敗れたが、3カ月ぶりの実戦で重め残りの状態。折り合いを欠き、引っ掛かる場面があったほどで、まずは参考外としていい。その後は、ここを目標にしっかりと乗り込まれ、1週前の追い切りも軽快かつリズミカル。状態のよさは明らかで巻き返しがあっていい。
デビュー3戦目でGIII京都2歳Sを勝ち、クラシックでも、と注目された馬。皐月賞5着、ダービー6着の実績は褒めてよく、地力は確か。その後は、ひと息足りない競馬が続いているものの、そろそろ2つ目の重賞を手中にしていい。
5歳馬であり、恐らくハンデは56キロ止まり。チャンスは十分だ。
ほかでは福島巧者のヴァンケドミンゴ〈4 1 1 0〉や、GIホープフルSで3着の実績があるワーケアあたりが争覇圏内とみているが、穴としておもしろいのは、プレシャスブルーとロザムールだ。
前者は福島で〈0 1 0 2〉と勝ち鞍はないが、平坦コースは合うはず。あとは展開が向くかどうかだ。
この中間の稽古では軽快な動きを披露しており、ハンデは恐らく54キロまで。体重が減らずに、よほどの道悪にならないなら狙ってみたい。
後者は、新潟で行われた福島牝馬S(13着)のあとひと息入ったが、しっかり調整されて仕上がりは悪くない。ハンデは53キロと思われるが、牝馬なので52キロということもある。
福島は新馬戦(4着)以来だが、先行力に加えて器用さがあり、小回りコースは相性がいいはず。道悪なら大勢逆転があっていい。
一方のプロキオンSは、メイショウワザシに期待する。前走のスレイプニルSは8着に敗れたが、左回りの東京で、前半からスムーズさを欠いていた。今回は〈3 1 0 1〉と、とにかく相性が抜群の小倉だけに、好走必至だ。