7月23日、巨人終身名誉監督の長嶋茂雄氏が、愛弟子である松井秀喜氏に伴われ、ソフトバンクの球団会長である王貞治氏とともに、東京オリンピックの開会式に聖火ランナーとして姿を見せた。長嶋氏は、野球日本代表監督に就任した2004年のアテネオリンピックにおいて本大会直前に脳梗塞で倒れ、本番では指揮を執ることができなかった。あれから17年。オリンピックの場で長嶋氏の姿を見ることができたことは、多くの日本人の胸を熱くさせたに違いない。
さて、話はさかのぼるが、そんな長嶋氏が現役を引退したのは、1974年。引退セレモニーにおける「我が巨人軍は永久に不滅です」とのスピーチは、巨人ファンならずとも耳に覚えのある名セリフだろう。そんな長嶋氏を“引退に追い込んだ”人物がいた…といった興味深いエピソードが語られる番組があった。
愛知県名古屋市にある中国料理店「ピカイチ」のYouTubeチャンネル〈ピカイチ名古屋チャンネル〉に、バッテリーを組んだ仲でもある中日ドラゴンズOBの木俣達彦氏と鈴木孝政氏が出演。今年3月6日付け投稿回〈【巨人ファン様熱烈歓迎!!】こんな鈴木孝政さん見たこと無い!あふれ出るミスター長嶋茂雄&思わず嫉妬の木俣達彦さん 今日は全編読売ジャイアンツな中日ドラゴンズのレジェンド師弟大放談♯26〉を観ると、ある試合において、狙い通りの鈴木氏のストレートを空振り三振してしまった長嶋氏が「オレもそろそろやめ時かな…」と、木俣氏に口にしたのだとか。
これをもって木俣氏は、鈴木氏を指して、「長嶋茂雄さんを引退に追い込んだのは彼なんです」と淡々と語ったのだ。すると鈴木氏は「やめさせたなんて、そんな罪深いことはしません」と語ると場内が笑いに包まれるといった和やかな雰囲気だったのだが、思わず聞き入ってしまう秘話である。
150キロ台の伸びのある鈴木氏のストレートに舌を巻いた長嶋氏は引退後、評論家として訪れた中日のキャンプで、鈴木氏に陣中見舞いとしてウイスキーを贈ったといったエピソードも明かされ、「私には何にもくれなかったけども…」と、ジョーク交じりに先輩・木俣氏は大いに悔しがって見せたのだった。
ともあれ、ミスターの一挙手一投足は、今も、ファンのみならず、敵チームの選手でさえ魅了していたことがわかる動画であった。
(ユーチューブライター・所ひで)