スポーツ

「ミスター・長嶋茂雄」を育んだ佐倉ものがたり(3)地元神社を大切にする教え

20161201e3rd

 長嶋と八幡社の結び付きは古い。臼井小学校時代は、毎月1日と15日の参詣が恒例行事だった。午前4時、まだ暗いうちに起きて、星明かりだけを頼りに田圃の畦道を歩く。学校から八幡社までは30分の道のりだった。八幡社に着くと、子供たちは本殿の前に立ち、唱和する。

「目に見えぬ神に向かいて恥じざるは、人の心の誠なりけり」

 長嶋の声は、いつもひときわ大きかったという。臼井小学校の木村伊三郎校長が、八幡社の縁戚関係にあったらしく、始まった行事だった。戦時昭和は「皇国日本、神州不滅」の時代である。

 根本が思い出す。

「第一次長嶋政権の最終年(1980年)でした。ある日、うちのおやじ(武雄)に電話がかかってきたんです。『八幡様でお祓いしたいから、よろしくお願いします』とね。当時、おやじは八幡社の総代長でしたから、すぐに手配しました。当日は奥さんの亜希子さん(故人)もいっしょでした。なんでも、低迷するチーム状態に悩み、ある人に相談すると、『地元の神社、仏閣を大事にしなさい』と言われ、お祓いに来たんです」

 小林も、似たような話を聞いていた。

「あれは現役時代で、巨人V9の半ばごろでした。極端なスランプに陥り、富士の見える伊豆で山ごもりした際、お寺の住職から『先祖のお墓と、生まれた場所の神社を大切にしなさい』と言われたんです。以来、茂雄ちゃんは、それを頑なに守っているんです」

 巨人のブルペン捕手だった淡河弘は、1971年から3年間、長嶋の山ごもりに同伴している。

「ミスターは富士の大家と言っていいくらいです。夕食は、大仁ホテルの『富士の間』にある窓を開け放ち、夕映えの赤富士を眺めながら箸を動かすんです。そのとき、1時間ぐらい富士について講釈する。富士は1日に7回色を変えるとかね。まさに“富士博士”でしたよ」

 長嶋が大田区田園調布に家を建てたのは、淡河と山ごもりを始めた年である。田園調布に居を定めた理由は、高台にあり、富士を望めることだった。そのため、どの部屋からも富士が見える設計になっていた。

松下茂典(ノンフィクションライター)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
【高校野球】全国制覇直後に解任された習志野高校監督の「口の悪さ」/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」
3
エスコンフィールドに「駐車場確保が無理すぎる」新たな問題発覚!試合以外のイベントでも恨み節
4
「子供じゃないんだから」佐々木朗希が米マスコミに叩かれ始めた「温室育ち」のツケ
5
ミャンマー震源から1000キロのバンコクで「高層ビル倒壊」どのタワマンが崩れるかは運次第という「長周期地震動」