●ゲスト:前田日明(まえだ・あきら) 1959年、大阪府生まれ。1977年、「新日本プロレス」入団。84年に移籍した「第一次UWF」に至るまで、あらゆるリングで伝説の戦いを繰り広げた。88年、「第二次UWF」を旗揚げ、UWFムーブメントを巻き起こす。UWF解散後は、91年に総合格闘技団体「RINGS」を創設し、総合格闘技ブームを牽引。引退後は「HERO’S」スーパーバイザーも務め、現在は「The Outsider」をプロデュース。最新著書「日本人はもっと幸せになっていいはずだ」(サイゾー)発売中。
抜群の格闘センスで日本中のファンを熱狂させてきた前田日明。選手としてだけでなく、これまで多くの格闘技団体を創設、プロデュースしてきた。そんな男の次なる対戦相手は日本!? 最新著書で振り下ろした正義の鉄槌に、天才テリーもノックダウン!
テリー ご無沙汰です。最新著書の「日本人はもっと幸せになっていいはずだ」が話題になってますね。
前田 ありがたいです。プロレスや格闘技とは全然関係ない本なので、どうかなと思ってたんですけど、想像以上の反響で、自分でも驚いてます。
テリー 今の日本にすごく憤ってますよね。いつからこういうことを考えるようになったんですか。
前田 やっぱり現役を引退して、結婚して、子供ができてからですね。自分は晩婚で、49歳の時に子供ができたんですよ。そうすると、その子が結婚するであろう30代の中頃には、自分は80、90になっちゃうんで、ちゃんと見届けてやれるんかなと。そう思いながら生活してると、政治の話がいろいろ聞こえてきて、そのたびに「あれ、なんでそうなってるの?」と疑問に思うことが増えて。
テリー 例えば?
前田 例えば、自分は仕事の関係で海外によく行くんですが、「なんで世界第3位の経済大国である日本の生活が、他の経済大国に比べて汲々としてるんだ?」とか。
テリー あぁ。
前田 そうすると税金なんかも「なんで国税と地方税の二重取りになってるんだ?」と疑問に思ったり。そもそも、源泉所得税なんて、昭和15年に戦費調達のために特別に行われた税法であるにもかかわらず、今も続いているんですよ。
テリー 僕は車が好きなんですけど、車関連の税金もいくつもありますからね。
前田 公立や国立の教育機関だって、海外は授業料タダってところが多いですよ。今回のコロナでも収入の80%とか、ほぼ100%に近い金額を補償した上で「ロックダウンするから営業を止めてくれ」とやっている国がある一方で、日本はわずかな援助金をチョコチョコっと出しただけで「営業を止めろ」と。それで今、何が起きてるかといえば、普通に銀座、六本木を歩けば、優良な場所の路面店は軒並みシャッターが下りてますよ。あと、よく聞くのは自殺ですね。関東圏内では毎日のように人身事故で列車が遅延してます。そういうこともほとんどニュースに取り上げられないで国会で何をやってるかといえば、花見がどうだとか、不倫がどうだとか。
テリー 本質じゃないですよね。
前田 くだらない政治ごっこ、政治ショーですよ。
テリー 日本は給料も先進国の中でいちばんアップ率が低いですからね。
前田 日本はこの30年、経済が停滞してるんです。テリーさん、今、韓国の一流企業に就職した大学生の初任給がいくらか、ご存知ですか。
テリー いくらですか。
前田 日本円で40万円前後ですよ。
テリー 日本の倍ですね。
前田 20万円って、自分が18歳で新日本プロレスに入った時、すでに大卒の初任給は20万円ですから。こんなの絶対におかしいんですよ。