青い海、白い砂浜…などとは趣の違うどこか“妖しさ”が漂う日本の海辺。そんな場所で女優が濡れたら、下半身が疼かないわけがない。再び映画評論家・秋本鉄次氏に聞く「平成の海辺愛欲シーン」5選を!
第87回アカデミー賞外国語映画賞部門に日本代表作品として出品されたほか、ヒロインの池脇千鶴が多くの映画賞を受賞した「そこのみにて光輝く」(14年、東京テアトル/函館シネマアイリス)。
母親、寝たきりの父親、そして菅田将暉演じる前科者の弟の一家を、体を売ることで支える女を演じる池脇。自宅は海辺のバラックで、性的欲望が異常に旺盛な父親の性処理まで担うという「底」での生活の中で、綾野剛との出会いが一筋の光となる。そんな物語で、秋本氏が「最も情感が高まる場面」と挙げるのが、海の中でのキスシーンだ。
上半身マッパで、海の中で浮きながら待つ綾野の元へ。お互いに吸い寄せられるように手を取り合い、体を寄せると、波に揺れながら、「はぁ‥‥はぁぁ‥‥」と唇を貪り合う。息遣いも荒く、何度も何度も飽きもせずにキスを重ねるシーンを前に、秋本氏は「最高にエモーショナルだった」と絶賛する。秋本氏によれば、ほかの場面でも服を脱いだ姿となり「生活感」あふれる「肉感的」なバストを見せ、彼女の「女優魂」を色濃く感じさせる作品だという。
トレンディドラマで一世を風靡した有森也実は、「いぬむこいり」(17年、太秦)で「強烈な情交」を見せつけた。神のお告げにより訪れた島で多くの苦難に見舞われつつ、頭部は犬、体は人間という「犬男」と小屋で生活をともにすることに。そして犬男と対面で座わった姿勢やバックスタイルで乱れまくり、さらに”小”をするというシーンまでやってのけるのだ。秋本氏によれば、むき出しのシーンがいくつもある中で、全脱ぎしたで浜辺に立つ場面は、特に印象的だという。
「大自然ですべてをはぎ取った有森からは、覚悟が漂っていた。くっきりと映るヘアに陽光が当たり、とても清々しく美しかったですね」(秋本氏)
02年に写真集「さくら伝説」で衝撃の五十路ヘアヌードを解禁した松坂慶子は、「るにん」(04年、東京テアトル)でも生まれたままの姿を惜しげもなく晒した。
「八丈島に流れつき、春を売って生きる糧にしている女囚役で、松坂が『そういう境遇の女性が太っていてはおかしい』と、かなり体型を絞って挑んだ作品です」と話す秋本氏によれば、松坂が全脱ぎ姿で「水辺の岩にしがみつき、鬼気迫る目でこちらを見据える」シーンには、「女性としての誇り高さを感じました」という。
男とのカラミでは完熟バストが揉みしだかれ、よがるさまが圧巻である。
ホラークイーンの異名を持つ三輪ひとみは「捨てがたき人々」(14年、アークエンタテインメント)で生々しいフェロモンを噴出。大森南朋演じる野卑な男から、かもめの声と波打ち音が絶え間ない海辺で強引に弄ばれるのだ。大森から突然キスをされ、拒否するも磯の香りが染みつく胸を壁に押しつけられ、またもやキスされ耳を吸われる。
「あぁん‥‥いやあ‥‥」
体をくねらせるたびに釣鐘型のバストが震える。ハシゴを昇り逃げる三輪だが、大森が下から下品に笑いながら、敏感な秘部にねっとりと触れると。
「いやあぁぁぁん! はあぁん!」
快楽には抗えない濡れた声を漏らしてしまう。秋本氏も「大胆で、情感あふれる演技はすばらしかった」と太鼓判を押す。
全編、沖縄の渡嘉敷村で撮影を行った「シェル・コレクター」(16年、ビターズ・エンド)は、冒頭、波打ち際に流れ着き、M字開脚で仰向けになる寺島しのぶの下半身を、リリー・フランキーがまさぐる場面から始まる。さらに、砂浜に建つリリーの住処で、小豆色のバストを勃起させた寺島がリリーににじり寄って上に乗り、対面となり座った姿勢で腰をこすりつけるシーンも。海は、女の解放を後押しする力があるようだ─。