ただでさえ「非日常の艶っぽさ」が漂う野外プレイだが、若い女性よりもはるかに濃密なのは成熟した女性だ。性がほとばしる生々しき年齢の美女たちの野外情交を以下、映画評論家の秋本鉄次氏が解説する。
撮影当時、なんと52歳。世間からは「コミカルなおっかさん役」が定着しつつあった松坂慶子は、「るにん」(04年、東京テアトル)で妖艶に返り咲いた。
「当時はふくよかな体型で、この映画のために10キロも減量。八丈島の流人役が健康的に太っていてはおかしいと、しっかり体重を落としたプロ根性はみごとです」
流刑の島の男たちに体を売り、苦しくもたくましく生活するという役柄。赤い着物をはだけ、50代と思えぬハリのある真っ白なバストに桜色の先端を隆起させ、男に揉ませ、よがる。そして秘部に潤滑液を仕込み、男を待ち受ける。
「映画後半、背後で緩やかに滝が落ちる荒々しい大岩」に服を脱いだ姿でしがみつくと、「鬼気迫る顔でアソコを岩に押しつけ、喜悦の表情を浮かべます」といい、妖艶さというよりも、「生への執着心と切迫感が伝わる、非常に壮絶なシーンでしたね」
吉行和子は40歳で初脱ぎ、それも大島渚監督のハードコア作品に起用され話題となった。「愛の亡霊」(78年、東宝東和)で、初脱ぎと「初本番」に挑んだという。
「賛否はあったでしょうが、周囲の声をものともしないアッパレな演技でしたね」
藤竜也演じる若い不貞相手と共謀し、夫(田村高廣)を殺す既婚女性役を演じた吉行。剃毛シーンや木につるされての拷問シーンがある中で、秋本氏が「特にアツい場面」と注目するのが、藤との森の中でのカラミだ。
夫の亡霊に悩まされ、森をさまよう吉行に藤が帰宅を促す。すると、「いやだあー!」と叫び、藤の唇に正面からむしゃぶりつく。火がついた藤は吉行の着物の隙間に手を差し入れて、たわわに揺れる豊かなバストを揉みしだき、さらにバストに舌をはわせる。そして、落ち葉を背に合体すると、
「あぁあぁぁあっ!!」
吉行のメスの鳴き声が森じゅうにこだまするのだった。
「唯一最大の」肌見せ度で、まさに至宝映像だと秋本氏が絶賛するのは、「狗神」(01年、角川映画)での天海祐希。相手役の渡部篤郎と、土砂降りの中、洞窟で雨宿り。そこは彼女が高校時代に野外情交した場所で、なまめかしく当時を語りながら渡部に迫り、ゆっくりキスをする。火のついた2人は服を脱ぎ生まれたままの姿になると、さまざまな体勢で絡まり合う。向かい合ったり、後ろから疲れたり、男にまたがる体勢では渡部の股の間に自身の下腹部をこすりつけるように腰をグラインド。最後は岩を背にして大開脚し、深突きされる。そのたびにバストが揺れ、「ハァ‥‥ハァ‥‥」と、甘い吐息を漏らす天海。ここまで乱れに乱れたのは、彼女の女優人生で後にも先にもこの洞窟だけだろう。
ベッドシーンの名手といえば、90年代の川島なお美(故人)の右に出る者はいない。ドラマ『失楽園』(97年、日本テレビ系)のあと、色香満開を迎えた時期に「『メトレス・愛人』(00年、松竹)で、その路線を極めました」という。
お相手の三田村邦彦と冒頭でいきなり、川辺に張ったテントの中で情事に浸る。三田村が川島の胸を舌で愛撫すると、バストトップがピクンと隆起。対面から⇒になり、そしてバックと、かわるがわる愛し合い、「アンッ! アンッ!」と三田村の腰つきに没頭する川島。そのまま絶頂まで約3分の長いベッドシーンを見せてくれるのだ。
NHK朝ドラ「あしたこそ」でヒロインを演じた藤田弓子(74)は、「山の民の物語」である「瀬降り物語」(85年、東映)でイメージを一新。四国山中の大自然、轟音響かせる滝を背景に、夫役の萩原健一に後ろから野生的にねじ込まれ、雄々しく突かれる。前戯もなしの突きに、藤田は思わず「アァッ! ううッ!」と切ない声を漏らす。
「日本的な風土の中、まさに日本の土着的な体型をした藤田が濡れるのは、実に生々しかったですね」
生と性が隣り合わせにある成熟した女性の「野外情交」は映画により説得力を持たせるのだった──。