テリー いつも企画はどう書いてるの?
ダンカン 根底にはまず、自分が楽しむというのがありますね。アイデアが浮かんだ瞬間って、今世界の人口が80億として、それを知ってるのは、自分だけ。常にそれを見つけたいし、その瞬間を楽しみたいと思ってるかもしれないですね。
テリー 今、放送作家の仕事って?
ダンカン あんまりやってないです。オフィス北野から変わった「株式会社TAP」の、なぜか専務になっちゃったので。
テリー 偉くなったんだ。
ダンカン いや。今、たけし軍団だけじゃなくて、若い芸人が10組ぐらいいるんですけど、ネタの作り方を教えたり、もう少しみんなの収入を増やしていかなきゃなってところで。今は時代が違うから、昔はこうだったって、あんまり言えないし、なかなか難しいんですけど。
テリー でも、ヅラボッチャなんて“今”だよね。
ダンカン だけど、これをやりなさいって言うわけにもいかないですよね。自分の若い頃を振り返っても「もっと違うおもしろいことがあったんだ」って、自分で気づかないとダメじゃないですか。人に言われて変えても、その時だけになっちゃうから。それを見ててあげなくちゃいけないのは、もどかしいですよね。
テリー でも、河村市長の企画だって圧倒的におもしろいじゃない。そもそも、あれをお笑い芸人が批判してどうするんだっていうさ。お笑い芸人なら批判するんじゃなくて、もっとおもしろいことないかって考えなくちゃいけないのに。
ダンカン そうですよね。
テリー 俺、今、ワクチン2回打ち終わって、副反応どうだって聞かれたら「絶倫になった」って言うようにしてるんですよ。この前、河野大臣に会った時に言ったら黙っちゃったけど(笑)。でも、お腹痛くなったとか、熱が出たとか、芸人さんが言ったって、おもしろくないじゃない。普通の人ならいいけど。この逆境の中でどれだけくだらないことを言えるかっていうのは、芸人さんにとって大事だと思うんだけどね。
ダンカン 漫才師だったら「滑舌がよくなって、もうベラベラしゃべれるようになった」とかね。俺もこれからは「(アソコが)すごい立派になった」って言います。
テリー そうしてよ(笑)。
ダンカン でも企画って、改めて考えるというか、会えばずっとこんなふうに話してましたよね。企画になるんだか、ならないんだかよくわからない、くだらない話をずっと。
テリー そうだよね。自分ではなかなか言いづらいと思うけど、これは会心だったっていう企画は何?
ダンカン 昔、「元気」で「川崎徹を襲ったのは誰だ」って企画をやったの、覚えてます? 川崎さんがATMでお金をおろそうとしたら強盗に襲われて。防犯カメラに犯人の顔がなんとなく映っていて、「誰か似てる人はいないか」っていう、要はそっくりさんを募集する企画なんですけど。クレームが来たのか、たぶん2回ぐらいで終わっちゃって。
テリー あったね。
ダンカン 「元気」って放送翌日の月曜に電話でクレームを受ける係の人がいたんですよね。カワブチさんていう2メートル40センチぐらいの女性が(笑)。
テリー いたね。確かに2メートル40センチあった。
ダンカン その人が一日中クレームに対応するんですけど、そうすると毎週同じような人から電話が来るから、そのうち仲よしになっちゃって(笑)。あの頃、ほんとにいろいろありましたね。