1年の計は金杯にあり。13年中央競馬の全開催が終了し、1年で唯一競馬が行われない年末年始を過ごすわけだが、ファンの気分はすでに東西金杯へ。14年の収支に弾みをつけるべく、ここは是が非でも当てたいところだ。
東西金杯とも、よく荒れることで定評ある重賞。より波乱含みなのは、こちら中山金杯だろうか。
今回もフルゲート(16頭)必至。ハンデ戦ということでどの馬にもチャンスがありそうで、穴党としても目移りしてしまう。確かにクセ者ぞろいで、難解このうえない。小回りの2000メートル。中山に相性がよく、ハンデの軽重が馬券のポイントになりそうだ。
当方が最も狙ってみたいのは、サムソンズプライドだ。6カ月半ぶりの実戦となったディセンバーSは10着と敗れたが、レース内容は決して悪くなかった。逃げたタイキパーシヴァルの2番手につけ、粘りに粘ったもの。最後は久々が影響してか息切れしてしまったが、勝ったエアソミュールとコンマ5秒差なら上出来と言っていいだろう。力がある証拠でもある。
12年夏にデビューするものの、未勝利を勝ち上がったのが13年3月末。9戦を要してしまったが、これは体質的弱さが付きまとっていたためだ。
「ひ弱でね。使ったあとはガックリとして疲れが抜けるのが他馬に比べて遅かった。仕上げるのに苦労が絶えなかった」
と、杉浦調教師は振り返るが、しかし、こんな状態が続きながらその後、500万、1000万と特別を連覇。未勝利から3連勝したのは、この馬の高い能力ゆえ。評価すべきである。
さすがに春、最後の一戦となったダービーでは完敗(17着)を喫したが、連戦の疲れで状態のピークがとっくに過ぎていたことを思うと、やむをえなかったろう。その後リフレッシュを目的とした放牧が奏功。みごとに立ち直った。というより、たくましく成長を遂げた。
「以前のひ弱さが影を潜めた。前走はプラス22キロの馬体増だったけど、そのほとんどは成長分。体に幅が出て、トモがしっかりした」
こう言って杉浦師が目を細めるほどだ。中間の稽古の動きも軽快。使われて状態がアップしていることは明らかで、チャンスがあっていいのではないか。
明け4歳馬。実績と前走の斤量(54キロ)を考慮すれば、ハンデは恐らく52~53キロ。曾祖母は、オークス馬ダイナカール。エアグルーヴ(オークス、天皇賞・秋)、アドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯連覇)といった女傑が近親にいる良血。こうした血統的背景から今後の活躍を期待していいが、逃げ・先行脚質からして、まさに中山の2000メートルはピッタリと言えるのではないか。走りっぷりから道悪も不安はなさそう。晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。
連下は手広く流してみたいが、中でもディサイファは厚めに買いたいところだ。前走の福島記念は不利があってのもの。それでもコンマ1秒差。この馬向きの展開になるようなら勝機もあっていい。
京都金杯は、タイキパーシヴァルに期待だ。逃げてこその馬で、マークされる厳しさはあるが、休み明けを3度使われてグングンと調子を上げている。
「かなりいい状態で臨めそうだ。楽しみ」
と、藤岡健調教師は胸を張る。中間の調教の動きは文句なし。馬体に張りが出て、満点と言っていい好気配を誇っているのだ。ならば得意とする京都でのマイル戦。ハンデは55~56キロ。この馬の快速ぶりに一票を投じたい。
◆アサヒ芸能12/24発売(1/2・9合併号)より